呉昇桓の新球ツーシームに巨人007うなる「もっと見ないと」

[ 2014年2月16日 08:16 ]

フリー打撃に登板し力投する呉昇桓(上は中西投手コーチ)

 阪神の新守護神候補、呉昇桓投手(31=サムスン)が15日、沖縄・宜野座村野球場での春季キャンプで、初めてフリー打撃に登板した。テンポ良く「石直球」を投げ込んだ右腕は、本格習得に取り組んでいるツーシームも披露。右打者の内角や左打者の外角に投じて、内野ゴロに打ち取る狙いの“秘密兵器”に、巨人のOO7もさらに警戒を強めた。

 宜野座球場の視線をくぎ付けにし、マウンドに登った背番号22がいきなり力を見せつけた。左打者・今成に対しての24球目。投じた白球は、一気に外角へ切れ込んでいった。仮に右打者だったら大きくのけぞっていたことだろう。キレ味鋭い軌道に周囲もどよめいた。その正体は、新たに習得に取り組んでいるツーシームだった。

 「(ツーシームは)きょうの部分は良かったと思う。まだ実戦で投げていないので、練習の過程ですけどね」

 韓国では平均150キロを計測する重い「石直球」と、キレ味鋭いスライダーで打者を封じ込めてきた。日本でも軸となるボールはその2つで変わらないものの、キャンプ序盤に中西投手コーチら首脳陣と話し合い、実戦ではほとんど投げてこなかったツーシームも投げることを決めた。

 「内野ゴロを打たせるために使う」

 主に右打者の内角や、左打者の外角に投じて、凡打の山を築いていくためのボール。走者を背負った際に併殺を狙うこともでき、完全にものにすることができれば、猛虎の新たな守護神候補にとって、新たな“引き出し”が増えることになる。

 視察に訪れていた巨人・森中スコアラーも、新球に思わずうなった。

 「(ツーシームは曲がりが)大きかったねぇ。これからもっと見ていかないといけないボール。(右打者にも)これから投げていくんだろうしね」

 これまでのデータに無かった球種に困惑しながら、さらに徹底マークして分析していく考えを口にした。

 この日は、今成、新井の2人に合計48球を投げ、安打性9本に抑えた。「バッターを抑えようとかは気にしなかった」と、ハイテンポな投球に終始した。

 前日のサムスンとの練習試合(宜野座)で、1本塁打を含む3安打を放った今成も直球に差し込まれる場面が目立ち、新井からは3球目に自慢の「石直球」で空振りも奪った。

 ブルペン入りの翌日は完全ノースローと、韓国での調整を日本でも貫き、首脳陣や他球団のスコアラーを困惑させたが、森中スコアラーは“呉昇桓流”が正しかったことを認めた。

 「あの調整は間違っていなかったね。(疑った)自分たちも報道陣の皆さんも反省しないといけないね。普通に投げていたし、良かった。バッターの方に感想を聞いてほしいぐらい良かった」

 ギアの上がってきた「石仏」は無表情で「きょうは良かった」とうなずいた。もう心配無用だ。

続きを表示

2014年2月16日のニュース