呉昇桓 これが石直球 球児上回る回転数で重さ実現

[ 2014年2月8日 05:30 ]

ブルペンで力強い球を投げる呉昇桓

 通算277セーブの韓国プロ野球記録を持つ阪神の新守護神、呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)が7日、沖縄・宜野座キャンプで初めてブルペン入りし、直球中心に61球を投げた。阪神投手陣で最も遅いブルペン投球をセ・リーグ5球団のスコアラーが偵察する中、韓国で「石直球」と呼ばれた球威を披露。昨季は抑え不在に苦しんだ和田豊監督(51)も絶賛し、初ブルペンで2年総額8億5000万円、韓国No・1ストッパーの片りんを存分にのぞかせた。

 ついにベールを脱いだ。キャンプ7日目にしてのブルペン入り。ファン、報道陣合わせて200人もが熱視線を送る中で、呉昇桓は韓国で「石直球」と呼ばれたストレートを中心に61球を投げ込んだ。

 「感触もバランスも良かったので満足している。(サムスン時代から)毎年、沖縄でキャンプをやっているし、日本のキャンプに慣れることに難しさは感じない」

 捕手のミットを重く響かせた最速157キロの石直球。その秘けつは並外れた握力と独特の握りにある。握力は成人男性の平均50キロをはるかに上回る84キロ。さらにボールを握る際、手のひらに球を密着させない。人さし指、中指、親指でつかみ、リリースの瞬間に親指を支点に押し出す。バックスピンを利かせているという。04年から毎年、韓国野球委員会(KBO)公認のプロ野球名鑑を編集・発行する室井昌也氏によれば、一昨年の調査で呉昇桓の直球は1秒間に47回転。韓国プロの平均は41回転で、阪神時代の藤川球児(現カブス)の45回転も上回っていた。回転数が多いということは初速と終速の差が小さく、いわゆる伸びのあるストレートになる。打者の体感速度は相当なもので、和田監督は「(球質が)重そう。今まであまり見たことがないタイプ」と評した。

 呉昇桓の身長は公称1メートル78だが、実際は1メートル73~75という声もある。実は阪神にも調査段階では、身長をネックとし「投球に角度がない」と案じる声があった。しかし、この球威。阪急時代に1メートル69ながら剛球投手としてならした山口高志投手コーチも「自分もボールにスピンをかけることで角度を補おうとしたね。呉昇桓もリリースでリストをピンと利かせて投げている。ボールの回転数を上げようと意識しているのだろう」と評した。

 韓国サムスンでは9年間で444試合にも登板し、通算277セーブ。通算投球回数510回1/3で奪三振625個。卓越したストッパーであることを証明する数字だ。「ブルペンは試合までの過程なので、気にはしていない。感想としては韓国より全体的にストライクゾーンが高いね」。不敵な笑みを漏らしたが、石直球は低めより高めにこそ威力がある。多くのフライアウトに取れる計算が立つ。「(日本に来たからといって)何かを変える必要もないし、今までの姿を見せることが大事」。今季の阪神の命運を握る右腕は、プライドをにじませた。

 ▼阪神・中西投手コーチ まだまだスピードも出てくる。コントロールも非常に良い。インステップだけど、下半身の強さがあるから、左膝が割れても、力が逃げていかない。

 ▼巨人・森中聖雄スコアラー ブルペンでもずっとポーカーフェース。あれだと自分たちが見た印象しか分からないね。

 ▼広島・井生崇光スコアラー ボールの切れとか、力としては藤川(カブス)ぐらいの印象はあった。タイミングが取りづらい。

 ▼中日・井本直樹スコアラー 全体的に体の大きさを感じた。切れというより重たさ。力でねじ伏せてくる感じ。

 ▼DeNA・米正秀スコアラー 凄く重厚なボールを投げていた。左足はワンクッションあってタイミングが取りづらい。

 ▼ヤクルト・西沢浩一スコアラー 凄く良かった。投げ方は違うけど、球が速くてカットみたいなスライダーを投げるのは(元ヤクルトで現カブス)林昌勇(イムチャンヨン)に似ている。

 ≪呉昇桓(オ・スンファン)あらかると≫

 ☆生年月日 1982年7月15日、韓国・全羅北道井邑市生まれの31歳。

 ☆球歴 サムスン入団1年目の05年から抑えとして活躍し新人王。同年の韓国シリーズでも3セーブを挙げMVPに輝いた。最多セーブを5度受賞するなど、277セーブは韓国歴代トップ。

 ☆サイズ&投打 1メートル78、92キロ。右投げ右打ち。

 ☆ニックネーム 韓国ではピンチにも動じない冷静沈着ぶりから「石仏」。阪神入団後は雰囲気が漫画「ゴルゴ13」の主人公、デューク東郷に似ているとして愛称は「虎のゴルゴ」に決定。また、チーム内では韓国語で「お兄さん」を意味する「ヒョン」と呼ばれている。

 ☆好きな食べ物 キムチチゲ。またカレーも大好物で牛丼にもかける。

 ☆趣味 入浴。キャンプ宿舎の大浴場を満喫している。

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