上沢 オール直球で中田斬り!1軍経験なし20歳、強気で2回0封

[ 2014年2月7日 05:30 ]

紅白戦で2回を全て直球で無失点に抑えた上沢

日本ハム紅白戦 紅組2―0白組

(2月6日 名護)
 4番斬りで猛アピールだ。日本ハムの上沢(うわさわ)直之投手(20)が6日、沖縄・名護で行われた今キャンプ初の紅白戦に先発。初回2死三塁のピンチで中田翔内野手(24)に直球勝負を挑み、右飛に打ち取った。2回を2安打無失点。最速145キロで23球全て直球を投げ込む強気の投球だった。1軍経験のない大型右腕が3年目で成長を見せつけ、先発ローテーション入りに向けて前進した。

 直球で押した。初回、2死三塁で迎えたのは4番・中田。上沢は恐れずに右腕を振った。1メートル87の長身から投げ下ろした144キロ。球界を代表する若きスラッガーを平凡な右飛に打ち取った。

 「自分の真っすぐがどれくらい通用するのか試したかった」

 中田斬りのハイライトは初球。外角高めに142キロ直球を投げ込み、バットに空を切らせた。「ファウルを取りにいったけど、空振りを取れた。高めなら力はあるんだなと感じた」。この1球がその後も直球で押し切る勇気となった。中田も「凄くボールが来ていた。切れを感じたね」と驚いた。主砲相手に4球全て直球。しかも、2イニングで投げた23球は全て直球だった。最速は145キロ。厚沢投手コーチは「売りはファウルの取れるストレート。(栗山)監督に見せたかった」と説明した。2回にも1死三塁とされたが、尾崎を内角低め直球で詰まらせて、遊ゴロ併殺。三振は奪えなかったが、2回2安打無失点という堂々の内容だ。

 4年ぶりに復帰した厚沢投手コーチの指導が、3年目右腕の成長を支えている。「涌井と唐川(ともにロッテ)に似ている。昨秋、2人に共通する投球動作を上沢にやらせると良くなった」。肘を柔らかく使い、真上からしなやかに腕を振り下ろす。上沢も「(投球時の)テークバックのポジションのズレがなくなり、安定感が出た」と手応えを感じている。これまで1軍登板はない。それでも昨年のフレッシュ球宴(秋田)では全イースタンで先発し、2回無安打。2三振を奪って優秀選手に選出された。昨季は2桁勝利を挙げた先発投手がゼロ。上沢の台頭が待望されている。

 栗山監督は「次は絶対的に打者をねじ伏せるのを見せてほしいけど、最初にしては良かったんじゃないかな」と言った。手放しで褒めないのは期待の表れだ。次回は9日の韓国・KIA戦(名護)で先発予定。この日、20歳の誕生日を迎えた上沢は「次は変化球を交えて、どれくらい通用するか楽しみ」と自信を見せた。名字の読み方は「うわさわ」。野球ファンが「噂」をする日も近い。

 ▼西武・千原淳弘スコアラー 良いですね。直球が少し真っスラに見える。ローテーションに入ってきたら手ごわくなる。

 ▼ロッテ・高木晃次スコアラー 初めて見たけど、直球が良い。スーッと手元で伸びてくる唐川タイプ。

 【上沢アラカルト】

 ☆生年月日 1994年(平6)2月6日、千葉県生まれの20歳。

 ☆球歴 小学校時代はサッカー。野球は松戸一中から軟式で、専大松戸2年春からエース。夏の千葉大会は4回戦で東京学館浦安に2―3で敗退。甲子園出場なし。ドラフト6位で日本ハム入り。

 ☆投球スタイル 最速147キロ。球種は直球のほかにスライダー、シュート、チェンジアップ。

 ☆サイズ 1メートル87、88キロ。足のサイズは30センチ。「靴を買いに行っても“サイズがありません”と言われることが多いですね」と悩む。

 ☆趣味 音楽鑑賞と「沖縄限定」で釣り。登板前日の5日も休日返上で練習した後、一人で名護の海に釣りに出掛けた。

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