菅野「ウワッ!」松井コーチえぐった 憧れの人相手に内角球試す

[ 2014年2月5日 05:30 ]

菅野の内角攻めに、思わずのけぞる松井臨時コーチ

 巨人の宮崎キャンプで菅野智之投手(24)が4日、松井秀喜臨時コーチ(39)を打席に迎えてブルペン投球を行った。初球から狙い通りに内角低めに直球を決めるなど、投じた51球の半数以上にあたる26球を内角に集めた。今キャンプで初めてバットを持って左打席に立った松井コーチも、菅野の直球を絶賛。12年ぶりのゴジラ来訪で盛り上がった宮崎キャンプ第1クールは、「松井VS菅野」の豪華対決で終えた。

 夢のような時間の始まり。菅野は決めていた。「真っすぐ行きます!」。両手を左打席側に動かし、内角を指示。いつも通りのゆったりとしたフォームから、内角低めに直球をズバッと投じた。

 「後ろに松井さんが立っていらしたので、もし(打席にも)立ってもらえるなら、内角の真っすぐから入ろうと思っていました。いい感じで投げることができました」

 捕手を座らせ10球投じた直後だった。ネット裏で視察していた松井コーチが動いた。革手袋をはめた手でバットを持ち、左打席に入った。普段は静寂が保たれるブルペンの観客席からも、たまらず拍手と歓声が起きた。興奮は菅野も一緒。現役時代をほうふつさせる構えに「誰もが経験できることではない。感動しました」と頬を紅潮させた。

 昨オフから直球の質にこだわっており、全51球中、直球を34球投げた。目立ったのが初球から7球も続けた内角への直球。スリークオーターに近い菅野にとって、クロスファイアの形で決まる内角球は左打者封じの生命線。リリースの際に球をできるだけ前で放し、内角を厳しく突くことで、左打者を踏み込ませなくする。球種を指定しながらの投球だったが、カーブと勘違いしていた松井コーチの膝元に威力抜群の直球を投じ「ウワッ!」と思わず腰を引かせる場面もあった。

 小5で野球を始めた菅野にとって、すでに巨人の看板選手だった松井コーチは憧れの一人。圧倒的な長打力に魅せられ、テレビの前にクギ付けとなった。一昨年に引退したとはいえ、日米通算507本塁打を誇る生粋のホームランアーチスト。打席での反応や感想を聞くには極上の生きた教材だ。

 松井コーチもその気持ちを感じ取ったのか、現役時代のように打席内で本塁寄りに立って応えた。印象に残った球種には直球を挙げ「球に力があるし、制球もいい。去年あれだけの投球をしたというものを十分に感じられました。そこ(内角)は誰でも。外角だけでは抑えられませんから」と内角球を試した右腕の意図に納得顔を浮かべた。

 「貴重な経験でした。(打席に立つのは)テレビでしか見たことはありませんでしたが、大きかった。(威圧感が)ありました」。第1クール最終日に実現した夢の対決が、菅野をさらにスケールアップさせる。

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