ヤ軍 マー君獲りに追い風 Aロッド出場停止で予算増

[ 2014年1月13日 05:30 ]

楽天・田中将大

 楽天・田中将大投手(25)の獲得を狙うヤンキースに追い風が吹いた。大リーグ機構(MLB)は11日(日本時間12日)、アレックス・ロドリゲス内野手(38)が薬物規定違反により今季全試合の出場停止処分が科されたと発表した。ヤ軍はロドリゲスの今季年俸のうち約23億円の支払いを免除されるため、これを新ポスティング・システムでメジャー移籍を目指す田中の獲得資金に回すことが可能となった。

 MLBの発表を受け、ニューヨークの地元紙「ニューズデー」電子版は「ロドリゲスへの裁定がヤンキースの田中獲得のドアを開いた」と伝えた。他の米メディアも追い風と報道。球団は「調停委員会による今回の決定、調停のプロセス、大リーグの薬物規定を尊重する」と短い声明を出したのみだが、田中獲りへ最大の悩みの種が解決したことは間違いない。

 ヤ軍は計算できる先発投手がサバシア、黒田、ノバの3人だけ。5~6年総額1億ドル(約105億円)程度が必要とされる田中獲りは至上命令だ。一方、11年連続で払っている「ぜいたく税」を避けるため、今季の年俸総額を1億8900万ドル(約198億4500万円)以下に抑えることが数年来の目標だった。

 ロドリゲスは通算654本塁打のスーパースターながら故障離脱が相次ぎ、衰えも目立つ。大リーグ最高額の今季年俸2500万ドル(約26億円)は近年の働きに見合うものではなく、球団には大きな負担となっていた。

 米報道によれば、支払いの免除は年俸支給の対象となるレギュラーシーズン期間183日内の試合数にあたる162日分。残り21日分の約287万ドル(約3億円)は支払う義務が発生するが、9割近くの約2213万ドル(約23億円)は浮く。ヤ軍は最悪の場合、田中獲得のために今年もぜいたく税の対象となることを視野に入れていたが、本格交渉を前に予算が増えたことは大きい。

 今回の交渉にあたり、田中の性格を調査した大リーグ関係者は「こうした決断について、あまり引き延ばさずに決める性格だと聞く。しかも第一印象を大切にしており、来週の早いうちに決まったとしても驚かない」と分析している。前日まで2泊4日の弾丸渡米で身体検査を済ませ、ヤ軍を含む6~8球団との集中面談による初期交渉を既に終了。ケーシー・クロース氏(50)が務める代理人の立場からすれば、米東部時間24日午後5時(日本時間25日午前7時)までの交渉期間をフルに使って最高の条件を勝ち取るのがセオリーながら、田中が早期に決断する可能性もある。

 ドジャースなどと並び田中の移籍先として有力視されてきたヤ軍。23億円の足かせが外れ、アタックが加速する。

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