楽天がMLBに回答へ マー寄付白紙「ルール違反しない」

[ 2013年12月31日 05:30 ]

楽天の田中

 新ポスティング・システムでのメジャー移籍を目指す楽天・田中将大投手(25)の寄付プランが、白紙となる可能性が高まった。楽天は30日、大リーグ機構(MLB)から届いた警告書に対し、ルールを順守する考えを示した。田中は球団ではなく、宮城県などに寄付する考えを示していたが、MLB側は規定に抵触する可能性を指摘。新システムが有名無実化することを危惧するMLB側の警告を受け、寄付そのものが見送られることになりそうだ。

 田中の寄付金問題は一気に終息に向かいそうだ。MLBのパット・コートニー広報担当は米国時間の29日(日本時間30日)、楽天に対し、田中に関しての警告書を送ったことを認めた。同日付のロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)によると、MLBは譲渡金2000万ドル(約21億円)以外は利益を受け取らないとの確約を楽天側に求めた。

 文書は日本野球機構(NPB)を通じて楽天にメール送付され、英文での早急な返答を要求。対応次第では、制度を存続できない事態になる可能性もあるため、楽天は「内容は確認中ですが、ルールに反するつもりはない」との見解を表明。近日中にもMLBに文書で返答する見込みだ。

 今回の寄付金問題の発端は、日本時間の25日に立花陽三球団社長が田中から「できる限りの協力や寄付をしたい」との申し出があったと発表した会見。日米間選手契約に関する協定では、不正を避けるため、譲渡金以外の金銭や有価物が日本の球団に提供されることを禁じている。立花社長の発言を受け、MLBのロブ・マンフレッド最高執行責任者は、FOXスポーツの取材に対し「日本の球団に譲渡金以外の利益が流れるのは、間接的、直接的にかかわらず、協定違反になる」と指摘。楽天に対する警告にまで発展した。

 田中の寄付は宮城県へのものを前提としているが、同県の所有である本拠地球場の改修やドーム球場建設などに費用が充てられた場合、楽天への間接的な利益にあたると判断された。自治体への寄付としては問題がないが、楽天が規定を順守する意向を示したこともあり、古巣への「恩返し」プランは白紙となることが濃厚だ。

 ◆日米間選手契約に関する協定第12条 MLB球団は、選手に関連するリリース料以外のいかなる金銭又はその他の有価物を、直接、間接を問わず(当該選手又はその代理人を通じての場合も含む)、当該NPB球団に提供してはならない。BOC(米コミッショナー事務局)は、本項により禁止されている行為が行われたと結論付けた場合は、NPB選手とMLB球団との間のいかなる契約をも無効にすること、MLB球団がNPB選手と交渉することを禁じること、又はポスティングを終了させることを含むが、これらに限定されない、BOCが適切とみなすあらゆる行動を取る権限を有するものとする。 (一部抜粋)

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2013年12月31日のニュース