赤ゴジラ嶋 2軍コーチ就任で若い芽に「水やり」を

[ 2013年12月19日 10:35 ]

11月に行われたファン感謝祭で引退あいさつをする嶋

 11月23日。ファン感謝イベントが行われた西武ドーム。引退セレモニーでマイクの前に立った嶋重宣(37)の目には、自然と涙があふれた。「若い時のつらい練習を思い出してね。あれだけ練習してきたのに、西武では貢献できなかったのが…」。寂しさではなく、悔しさの涙だった。

 投手として入団しながら、2年目に野手転向。試行錯誤を繰り返し、広島時代の04年に首位打者を獲得。当時、松井秀喜と同じ背番号55の左打者だったことから、「赤ゴジラ」の愛称で一躍人気者になった。しかし、06年以降は故障や不振に苦しみ、12年3月にトレードで西武へ移籍。埼玉県上福岡市(現ふじみ野市)出身の嶋にとっては「地元球団」だった。だが、思うように貢献できない。チームの負けが込んだ今年8月にも1軍には呼ばれず、ユニホームを脱ぐ決断をした。「悔しかったけど、思い出して泣けるくらい、打ち込んだこともあって幸せだった」と振り返る。

 引退後の朝の日課は家庭菜園の水やりだ。「子供用の小さいじょうろで水をやってるよ」と言う。来季は2軍守備走塁コーチ兼打撃コーチ補佐のポストに就く。「1軍で活躍できる喜びを知ってほしい」。グラウンドに大きな花を咲かせるために、選手にも「水やり」を続ける。

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2013年12月19日のニュース