東出 漂う悲愴感…左膝不安「開幕1軍見えてこない」

[ 2013年12月3日 05:30 ]

契約更改交渉を終え、取材に応じる東出

 広島・東出輝裕内野手(33)が2日、マツダスタジアムで契約更改交渉し、2000万円ダウンとなる7000万円(金額は推定)でサインした。今年2月の紅白戦で左膝前十字じん帯断裂の重傷を負い、今季を棒に振った赤ヘルのチームリーダー。来季開幕も微妙な状況だが、松田元オーナー(62)ら周囲は完全復活を待ちわびる。若手の成長が著しい一方で、23年ぶりのリーグ制覇に向け、ベテランの力は欠かせない。

 戦う気持ちにはまだ、なれなかった。完全復活へ向け地道な作業で光明を模索する東出は、苦笑いや苦悩の表情を交えながら現状を語った。

 「先が見えないから、どう頑張っていいか分からない。僕としてはとにかく、目の前の言われたことをキッチリやるしかない。1年間、何もできなかったので、開幕1軍とかは正直、全く見えてこない」

 絶望のふちに立たされた1年だった。春季キャンプ中の2月24日紅白戦(天福)中に左膝を負傷。「膝が切れたときに終わったと思った。足と心がプッツリ切れた」と振り返る大惨事だった。翌日に広島市内の病院で「左膝前十字じん帯断裂」で実戦復帰まで8~9カ月と診断された。この時点で2013年シーズンは幕を閉じた。

 「人生でこれだけサボった1年はない。車イスにも初めて乗ったし、松葉づえも1カ月ついた。もうやりたくない」

 野球のできない苦しさと闘いながらリハビリを進め、現状ではショートダッシュやノックを受けられるまでに回復。来季に「倍返し」したい思いは当然持っているものの、焦れば全てが水泡に帰す。だからこそ東出は淡々と現状を語るだけにとどめた。

 一方で、周囲の東出への期待は高い。今季は丸、菊池ら若手の成長で16年ぶりAクラス入りを果たしたが、野球を熟知するベテランの力は不可欠。松田オーナーは「監督がやろうとしている野球を一番、分かっているのが東出。それをグラウンドで体現するのが、彼の役割」と戦力としての必要性を語る。

 交渉にあたった鈴木球団本部長も「大きな補強。誰かに何かあった時、すぐに代われる。そして自分で獲るつもりでやってほしい」と話した。復帰後は激しい定位置争いが待ち受けるが、同時に相乗効果を求める。

 それでも東出は「足のことに集中しないといけない。それ以外の“これをやりたい”は全くない」と現実を見すえる。再び、レギュラーとしてグラウンドに君臨するため、一歩ずつ着実に歩を進める。

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