阿部 松井氏と再会で変わった「一年でも長くやりたい」

[ 2013年12月2日 06:00 ]

ニューヨークで松井氏(左)と再会した阿部は現役への思いを語った

 巨人・阿部慎之助捕手(34)が30日(日本時間1日)、ニューヨーク市内のホテルで巨人の先輩であり、昨季限りで現役引退した松井秀喜氏(39)との再会を果たした。来春キャンプで臨時コーチに就任予定の松井氏から、長く現役生活を送るようアドバイスを送られた阿部は、松井氏の後継者として一年でも長く現役でプレーすることを宣言。日本一奪回を目指す来季へ向け、新たな刺激を受けた様子だった。

 摩天楼の中でもこの2人が並ぶと、とにかくでかい。巨人の4番という背負った者にしか分からない重責を担った2人。松井氏は阿部に向け、思いの丈を口にした。

 「わざわざ地球の裏側まで来てくれるとうれしいし、かわいい後輩だなと思いますよ。ジャイアンツの中で彼の存在というのは、とてつもなく大きいと思います」

 松井氏の引退セレモニーとなった5月5日の広島戦(東京ドーム)以来の再会。その松井氏に会うために、阿部は単身でニューヨークまでやって来た。「自分が一緒に現役だった方がどんどん辞めていって。感慨深いというか、考えてしまうところがあった」。いつの間にか野球人生の終着点を考え始めていた自分に気付かされた。そんな時に憧れの存在から貴重な言葉を送られた。「“巨人にとって慎之助が必要だと思うから長くやってほしい”と言っていただいた。本当に一年でも長くやりたいと実感したし、そう自分を方向転換させてくれました。あの一言が」。グラウンドではあまり見せなかった先輩の柔和な表情に、心の霧が自然と晴れていった。

 昨季は首位打者、打点王の2冠でMVPに選ばれ、チームを日本一に導いた。今季は主将で4番を任されたワールド・ベースボール・クラシックでは3位にとどまり、巨人でも日本シリーズ敗退。最後は自身の打撃不振も響き、今後の目標を見失いかけた。

 しかし大先輩の一つ一つの言葉に、力をもらった。「松井さんは本当にもうやりきった感があって辞めたそうです。寂しさはないと。それを実感できたら幸せだと思うし、俺も松井さんみたいに思って辞められたら」。充電期間の12月に、阿部の心が前へ向かった。まだ燃え尽きていない背番号10の背中を、55番が優しくも力強く押してくれた。

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2013年12月2日のニュース