阪神 中田賢獲得失敗に沈痛…「これは縁なんでね」

[ 2013年11月29日 05:30 ]

 阪神は28日、中日からフリーエージェント(FA)宣言し獲得を目指していた中田賢一投手(31)の獲得に失敗した。中村勝広ゼネラルマネジャー(GM=64)が中田賢本人から断りの電話があったことを明かした。今月17日に名古屋市内で交渉し最長4年の大型契約を提示するなど最大限の誠意を示したが報われなかった。中田賢はソフトバンク入りする。

 午後5時過ぎ、西宮市内の球団事務所に沈痛な面持ちで現れた中村GMは「先ほど電話がありました。お断りの電話です」と、中田賢の獲得失敗を公表。「残念な結果になりました。これは縁なんでね。仕方ありません」と、混乱する頭の中を整理するかのように言葉をつないだ。

 初交渉から11日。待ち望んでいた回答は「ノー」だった。今月17日に名古屋市内のホテルで初交渉し最大4年に背番号18、先発起用の明言など最大限の誠意を示した。加えて、リーグV奪回はもちろん、85年以来の悲願に向け「日本一になりたい。あなたの力を貸してください。絶対来てほしい」と、交渉の席でGM自ら熱烈ラブコールを送ったが、FA右腕の心を引き寄せることはできなかった。

 「入団してくれることに越したことはなかったんだけど…。(断りも)想定内というか、可能性が、どれぐらいかということも探っていた」と続け、厳しい情勢に立たされていることも、ある程度は把握していたもよう。それでも獲得失敗という現実をたたきつけられたショックは小さくない。今オフは日本ハムからFA宣言した捕手・鶴岡の獲得を検討したが情勢不利と判断し交渉を断念。FA戦線では事実上、連敗となった。

 待望した先発右腕に逃げられただけに、中村GMがFA宣言した久保の残留を願う思いはおのずと強くなる。「全力を挙げていることには変わりない。返事待ち」としながら「中田資金」を導入しての条件見直しについては「ないと思う」と否定的な見解を示した。

 久保が他球団に移籍した場合には新たに先発投手の補強に着手する必要も出てくる。「(新たな補強は)これからの問題。競争してローテーション入りの投手が出てくることを望んでいます」(同GM)と若手の台頭に期待を寄せる。

 4番候補ゴメスと新守護神の呉昇桓(オスンファン)獲得、メッセンジャー、マートンの残留と吉報が続いていた猛虎に訪れた試練。チーム編成のトップに立つ中村GMの苦しい胸の内が終始、表情に表れていた。

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2013年11月29日のニュース