野茂氏 メジャー日本人初殿堂入り候補「挑戦の道を切り開いた」

[ 2013年11月28日 05:30 ]

ドジャース(当時)の野茂

 全米野球記者協会(BBWAA)は26日(日本時間27日)、2014年の米殿堂入り選手の候補者36人を発表。今回初めて候補入りしたのは19人で、ドジャースなどでメジャー通算123勝を挙げた野茂英雄氏(45)が、日本選手では初めて選ばれた。殿堂入りは記者による投票で全体の75%以上の得票が必要。結果は来年1月8日(同9日)に発表される。また、同氏は29日に発表される日本の野球殿堂のプレーヤー部門でも候補入りが有力視されている。

 08年の引退から5年。トルネード投法でメジャーを席巻した野茂氏が、また一つ扉を開けた。日本選手として初めて米殿堂候補者に名を連ねたのだ。各候補者を紹介した大リーグ公式サイトは「日本出身の剛腕は、母国のスター選手たちにメジャー挑戦の道を切り開いた」と選出理由を伝えた。

 メジャーで12年プレーした野茂氏は95年にド軍入りし、1年目に13勝とリーグ最多236奪三振で新人王を獲得。中でも評価が高いのが、96年と01年レッドソックスで記録した史上5人目となる両リーグでのノーヒットノーランだ。特に96年は高地で打者天国と言われるロッキーズの本拠地クアーズ・フィールドで達成。当時ド軍を指揮したトミー・ラソーダ現相談役も「ほとんどの人がやっていない偉業を成し遂げた。センセーショナルな選手」と絶賛する。

 米殿堂入りを果たすには、全米野球記者協会に10年以上在籍した記者による投票(最多で10人連記)で、75%以上の投票獲得が必要。選ばれても例年1、2人と「狭き門」として知られる。明確な基準はないものの、投手は300勝、打者は3000安打、500本塁打が目安とされている。

 通算123勝の野茂氏は、通算355勝のマダックスや305勝のグラビンらに比べて成績面では及ばないが、鍵を握るのが競技発展への貢献度だ。黒人初の大リーガーとなった故ジャッキー・ロビンソンは通算1518安打、137本塁打で選出されている。野茂氏に投票するという記者は「今日のアジアへの広がりは、彼抜きには考えられない」と話した。

 95年には社会現象まで巻き起こした野茂氏。日本選手がメジャーに挑戦する先駆者となった功績がどれだけ評価されるかに注目が集まる。

 ▽殿堂入り資格 競技者部門はメジャー在籍10年以上が条件。引退後5年目以降に資格を得られ、有資格期間は15年。毎年25~40人の候補が選ばれ、全米野球記者協会在籍10年以上の記者の投票で決定する。投票では75%以上の得票が必要で、5%を割ると候補者対象から外される。監督・審判部門とエグゼクティブ部門はベテランズ委員会が選考して発表する。1936年から始まり第1回はベーブ・ルース、タイ・カッブらが選出され、競技者部門ではこれまでに100人以上が殿堂入り。  

 ◆野茂 英雄(のも・ひでお)1968年(昭43)8月31日、大阪府生まれの45歳。成城工(現成城)、新日鉄堺を経て、89年ドラフト1位で近鉄入り。1年目から18勝を挙げてMVP、沢村賞、新人王などタイトルを総なめ。95年にドジャースに入団して最多奪三振と新人王を獲得。大リーグ7球団でプレーし、08年に現役引退した。日本通算78勝46敗1セーブ、大リーグ通算123勝109敗。03年に「NOMOベースボールクラブ」を設立し、オーナーを務める。

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