野球・ソフト 東京五輪で復活光明 IOCバッハ会長「可能性ある」

[ 2013年11月21日 05:30 ]

IOCのトーマス・バッハ会長(左)と会談する安倍首相

 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(59)が20日、2020年東京五輪での野球とソフトボールの実施競技復活の可能性を示唆した。同会長は、五輪の実施競技は大会7年前までに決定すると定められている五輪憲章について、変更が可能との見解を示した。12月のIOC理事会で本格的に検討に入る。DeNA・中畑清監督(59)ら関係者に歓迎ムードが広がった。

 野球が「国技」といっても過言ではない日本に、朗報が舞い込んだ。2020年東京五輪に向けて、関係各方面に協力を要請するため来日したバッハ会長は、東京五輪での野球とソフトボールの実施について「可能性はある。五輪は開催国の文化や社会を反映するべき」と述べた。

 野球とソフトボールは08年北京五輪で実施されたのを最後に五輪から除外された。20年五輪の競技を決めた9月のIOC総会で最終候補に残ったが、レスリングに敗れて落選していた。

 五輪憲章で実施競技は大会の7年前までに決定すると定められている。しかし、弁護士出身で法務委員長を長く務めた同会長は「合意があれば変更はできる。7年ルールは障害とならない」と言い切った。夏季五輪の肥大化を防ぐために、五輪憲章では競技数の上限についても「28」と明記されているが、バッハ会長は就任当初から、肥大化防止には参加選手数と競技会場を抑える方が有効との考えから、この制度自体を早急に見直す方針を打ち出していた。このため、現在実施が決まっている28競技以外にも、他の競技が東京五輪で実施できる可能性を模索。同会長は、私見としながらも、開催都市が了解し、IOCが特例を認めれば、五輪での実施競技の変更手続きは可能とみている。今後は12月の理事会と来年2月のソチで開かれる総会での話し合いを踏まえ「非常にデリケートな問題だが、委員会か作業部会で検討する」と具体的な手順にまで踏み込んだ。

 これを受け、日本球界には喜びの声が湧き起こった。04年アテネ五輪でヘッドコーチを務め、銅メダルを獲得したDeNA・中畑監督は「オリンピックは別格。日の丸を背負う緊張感の中でプレーすれば選手としても人間としても成長できる。7年後、東京で実現したら最高だね」と歓迎。巨人・原監督は「復活すればこの上ない喜びだし、全力で開催を成功させる気持ちでいっぱい」と好意的に受け止めた。

 現役選手も期待に胸を膨らませる。今春のWBCで侍ジャパンの主将を務めた巨人・阿部が「野球界にとっては間違いなくいいことだと思うので、そうなるように願っている」と言えば、ソフトボールで08年北京五輪の金メダル獲得に貢献したエースの上野由岐子(ルネサスエレクトロニクス高崎)も「実施への可能性が出てくればいい。私自身も一選手として活躍できるよう、精進していきたい」とコメント。

 乗り越えるべきハードルは高いが、バッハ会長の今回の発言で、野球・ソフトボールの復活見直し機運は確実に高まっていきそうだ。

 ▼楽天・星野監督(08年北京五輪日本代表監督)俺は東京五輪の時は(球界に)いないけどな。でも(復活の可能性が出て)良かったじゃないか。

 ▼ロッテ・伊東監督(第2回WBCで日本代表総合コーチ)今は世界大会がWBCしかない。五輪は非常に価値のある大会。日本で開催する東京五輪で復活することになれば、国がひとつになるきっかけになるだろう。野球は日本の国技のような存在。世界一を狙える競技だし、盛り上がることは間違いない。

 ▼日本ハム・栗山監督 シドニー、アテネなど国際大会に(取材で)行かせてもらったが、日の丸の重みは人を進化させる。何としても、やってほしい。どんなスポーツでも世界の舞台は競技への影響力がある。ソフトボールも舞台がなくなっているので、やれる環境をつくりたい。

 ▼全日本野球協会・内藤雅之専務理事 前向きな発言をしてくれたことは非常にありがたい。まだ決まったわけではないので、これからも野球とソフトが協力して復帰が実現するようにやっていきたい。

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2013年11月21日のニュース