“89年組”田中 丸から引き継いだ出世背番「63」

[ 2013年11月15日 05:30 ]

仮契約を終え、広島の球団帽をかぶせてもらう田中(右は高山スカウト、左は尾形スカウト)

 カープ侍、オレも続くぞ! 広島からドラフト3位指名された田中広輔内野手(24=JR東日本)が14日に都内ホテルで入団交渉に臨み、契約金7000万円、年俸1100万円(いずれも推定)で仮契約を結んだ。背番号は来季から「9」に変わる丸の「63」を継承。その丸や菊池、野村という同学年のカープ戦士が名を連ねた侍ジャパン入りを目標に掲げた。

 自ら「よく言われる」と認めるロッテ・井口似のマスクを、田中は何度もほころばせた。3月に婚姻届を出した妻・亜子さん(23)との挙式も12月21日に控えており、入団は喜びの二重奏。球団帽を高山、尾形両スカウトからかぶせられ、「やっとプロ野球選手になり始めたのかな、と実感した」と目を輝かせた。

 チームの印象は「一番は、若手に勢いがある」というもの。その筆頭格の今季盗塁王・丸から、背番号63を引き継ぐことが決まった。「出世番号と聞いていたので、うれしい。それを途切れさせないように、しっかり責任を持ってやりたい」と誓いつつ、「いつかは若い番号をつけられたら」と9番に変わる丸同様のルートも意識した。

 東海大相模時代の記憶が鮮明だ。当時投手だった丸が引っ張る千葉経大付と練習試合をして、攻略に成功した。かつて同じ空間を共有した同学年はタイトルホルダーに育ち、先の侍ジャパンの台湾遠征メンバーにも名を連ねた。「台湾の試合は見ました。丸は広島の中心選手になり、僕より全然上」と認める一方で、負けじ魂はある。同僚となる菊池や野村、さらには日本ハム・中田、ロッテ・益田…と9人の侍が同じ89年生まれだ。

 「刺激になりますね。僕より先にプロで活躍している。追いつけ、追い越せ。日の丸をつけたい気持ちはあります」

 これから飛び込む世界の厳しさは、高校と東海大で同期だった巨人・菅野との会食などから先刻承知。それでも、JR東日本入社から2年間レギュラーを務め抜いた自信は揺るぎない。巨人、日本ハム、DeNAとは交流試合を経験。今季6勝の日本ハム・谷元からは本塁打も放った。「やっていける、と思えるものはあった」と話す。

 侍ジャパンの近未来照準は17年WBC。「それは頭の片隅に置いて…」と言い、次の言葉で足もとを見据えた。「(1月の)合同自主トレにしっかり入って、キャンプ1軍帯同。1年、しっかりやるのが先です」。さすが社会人ナンバーワン内野手、歩む軌道が描けている。

 ◆田中 広輔(たなか・こうすけ)1989年(平元)7月3日生まれ、神奈川県出身の24歳。内野手。東海大相模では2年春に二塁手で甲子園出場。東海大を経てJR東日本に入社し、1年目の12年都市対抗で若獅子賞受賞。同年のアジア選手権に日本代表として出場し、大会5連覇に貢献。50メートル走6秒0、遠投100メートル。1メートル71、80キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

2013年11月15日のニュース