新ポスティング マー君次第!?選手会“折れた”

[ 2013年11月12日 06:00 ]

楽天・田中

 新しいポスティング・システム(入札制度)の導入に異議を申し立てていた労組・日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)が11日、新制度導入に前向きな姿勢を示した。兵庫県西宮市の甲子園球場で日本野球機構(NPB)と労使折衝を行い、一両日中に結論を出す意向を伝えた。12球団の選手会長と、同制度を利用して米移籍が決定的な楽天・田中将大投手(25)に意見を聞いた上で、新入札制度案を了承するのは確実となった。

 約3時間30分の激論の末、新入札制度は導入へ向けて前進した。NPB側の四藤慶一郎選手関係委員長(阪神球団連盟担当)は「誠意を持って説明させていただいて、一定の理解を得られたのではないか」と手応えを口にした。

 新制度は最高入札額を提示したメジャーの1球団のみが交渉権を獲得。日本の球団が得る額を、落札額と2番目の入札額の間に抑える案で10月末に日米間でまとまった。本来なら日本シリーズ終了後にも発表される予定だったが、選手会は「入札額の1位球団としか交渉できないのは不公平。複数球団との交渉を可能にすべき」と異議を申し立て、正式締結に待ったをかけていた。

 この日の話し合いに、台湾でのアジアシリーズ出場を控えた嶋会長は欠席したが、東出輝裕副会長(広島)が出席。同席した山崎卓也顧問弁護士は「NPB側の説明を12球団の選手会長と協議する」と伝え、さらに新制度を利用することが確実な田中の意見も聞いた上で一両日中にNPBに結論を伝えると明かした。

 各球団の選手会長だけでなく、一選手の田中にも意見を聞くのは異例。だが山崎弁護士は「この問題は、もし田中くんが行くとすれば田中くんのためにやっていること。これから複数(球団と)交渉できるのか、単独交渉しかできないのか。直接的には彼のためにやっている。それは本人にも伝えましたし、彼の意向を無視してやることはありえない」と話しており、田中本人が新制度を了承すれば、正式締結に向けて動きだすのは確実だ。

 田中は13日、アジアシリーズが行われる台湾に出発する。楽天の立花陽三社長も現地に足を運ぶ予定だが、新制度が決定するまでは田中と会談を行わない方針のため両者の話し合いは同シリーズ後となりそうだ。ただ新制度さえ決まれば、23日のファン感謝祭、翌24日に仙台市内で行う優勝パレードなどで本人からファンへ直接胸中を伝える可能性もある。

 新制度の導入が遅れたことで、メジャー球団の補強が進み、田中に対する入札に影響が出る可能性はある。ただ、11年オフにダルビッシュ(当時・日本ハム)が入札制度の申請を行ったのは12月8日。「影響はない」とする見方もある。すでに球団は田中が入札制度を利用してのメジャー入りを希望した場合、容認する方針を固めており、話し合いはスムーズに運ぶ見込み。田中の夢への挑戦が、いよいよ動きだす。

 ▼労組・日本プロ野球選手会松原徹事務局長 きょうは球団側の考えが理解できた。あとは12球団の選手会長と連絡を取ってからになる。(今年だけ暫定的にルールを決めることは)MLBに関してはありえない。MLBは自分たちの都合しか考えていないですから。やるなら徹底的にやらないとダメだと思います。

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