星野監督 最高齢「正力賞」11・3“忘れない”

[ 2013年11月12日 06:00 ]

正力松太郎賞を受賞し、報道陣に思いを語る星野監督

 プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる今年の「正力松太郎賞」の選考委員会が11日、都内で行われ、楽天を創設9年目で初の日本一に導いた星野仙一監督(66)が選ばれた。賞金は500万円。星野監督は阪神監督時代の03年以来、10年ぶり2度目の選出となった。また今季24勝0敗1セーブと驚異的な成績を残した田中将大投手(25)が、特別賞を受賞した。

 脳裏には日本一の胴上げシーンがよみがえっていた。濃紺のジャケットに白いワイシャツ姿の星野監督は、正力賞を「この賞は野球の生みの親の賞。監督としては、投手の沢村賞のようなもの」と重みを表現した上で、感謝の言葉を口にした。

 「みんながここまで持ってきてくれて、日本一にしてくれた。それこそが最高の賞だと思っている。震災でひどい目に遭った方たちに、選手がめでたいことをもたらした。一瞬でもね。そっちの方に心が向く」

 この日は、三木谷浩史オーナーの父で、9日に死去した神戸大名誉教授の三木谷良一氏の葬儀に参列。その後、正力賞受賞の一報を受け、神戸市内で報道陣の取材に応じた。「予想もしてなかった」。自分だけの力ではない。本音だった。

 巨人を倒しての日本一が11月3日。東日本大震災は2年前の3月11日。「あの日と全く(数字が)逆。これはみんな忘れないよ。偶然にしても出来すぎだ。これから寒くなる。(被災者は)我に返るだろうけど、(11月3日を)忘れないでしょう」とかみしめた。震災当時、被災地入りを希望した選手との間で空中分解しかけたが、最終的には監督と選手が一丸となってつかんだ球団創設初の日本一だった。

 リーグ優勝に導いた阪神監督時代の03年以来、10年ぶりの受賞。その時にダブル受賞となったのが、当時ダイエー(現ソフトバンク)の監督だった王貞治選考委員長だった。その王委員長からは2度、メールをもらったという。リーグ優勝時は「今年は強かった」。日本一の時は「ごくろうさん。やったな」だった。「王さんもダイエーで苦労なさった。よくぞ弱小球団というのを知っている。俺の最高の理解者」。66歳での同賞受賞は06年の王委員長と並ぶ最高齢でもあった。

 だが、いつまでも感傷に浸ってはいない。13日にはアジアシリーズ出場のため、台湾へ出発する。さらに来季は連覇が懸かる。「1年間がムチャクチャ早いよ。息つく暇もない。来季へ、もう頭の中は動いとるよ」。最後は闘将の顔に戻った。

 ▽正力松太郎賞 日本プロ野球の生みの親として知られる正力松太郎氏(元読売新聞社社主)の功績を称え、1977年に創設された。その年のプロ野球の発展に、大きく貢献した人物(監督または選手)に贈られる。表彰者には金メダルと賞金500万円を贈呈。特別賞は賞金300万円。

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2013年11月12日のニュース