小久保ジャパン初陣白星!采配ズバリ「脳みそ回りっぱなし」

[ 2013年11月9日 06:00 ]

<台湾・日本>6回、適時打を放った代打・平田を笑顔で出迎える小久保監督(右奥)

侍ジャパン強化試合 日本4―2台湾

(11月8日 台北・新荘)
 小久保裕紀監督(42)率いる新生侍ジャパンは8日、台湾代表と強化試合を行い、4―2で下して初陣を白星で飾った。同点の6回に6番で起用した秋山翔吾外野手(25)が勝ち越しの右犠飛、さらに、この試合で初めて代打起用した平田良介外野手(25)の右越え適時二塁打で突き放した。世界一奪還を目指す2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向け好スタートを切った。

 試合後の公式会見で硬かった表情が日本人記者だけになると、ようやく緩んだ。極度の緊張感から解放され、小久保新監督はほほ笑んだ。

 「試合開始から9回まで、脳みそが回りっぱなし。(緊張で)試合中7回もトイレ行ったよ」

 だが、タクトをふるう上で必要な嗅覚は研ぎ澄まされていた。0―1の5回、浅村、秋山の5、6番の連続二塁打で同点。西武コンビで初得点が生まれた。7日の前日練習後、指揮官は言った。「浅村の状態がいい。秋山も良かった」と当初、7番を予定した秋山の打順を繰り上げた。その秋山は6回1死一、三塁でも決勝の右犠飛。「緊張した試合はシーズン中もあるけれど、それとは違った」と充実した表情を浮かべた。かみ合った歯車に勢いがつく。なお2死二塁から初の代打起用だった平田の右越え適時二塁打で突き放した。見事な逆転勝ちだった。

 昨年引退し、指導者経験もないまま侍ジャパン監督のオファーを受けた。悩んだ。「必然・必要・ベスト」。船井総合研究所の創業者・船井幸雄氏の言葉を人生の糧にしてきた。今、目の前で起きることは人生を生きる上で必要なことだとの考え方。しかし、侍を率いることは「人を指導したことさえない…」とためらった。だが、前進は正解と知る。10月のある日、42歳は新聞を握りしめたまま、涙をこぼした。国指定の難病・黄色じん帯骨化症でリハビリ中のソフトバンク・大隣が「完治させて4年後、小久保さんの役に立ちたい」と書かれていた。かつて左腕にはマウンドで感情に任せ「公開説教」したこともある。勝負の厳しさを理解し、自分の力になると言ってくれた。決断は必然であり、必要、かつベストなことだった。

 「覚悟は持っている」と結果が出なければ、自ら職を辞す覚悟で臨むと決めた4年間の戦い。強化試合といえども、勝利にこだわると誓った背番号90は公言通り、その第一歩を白星で飾った。

 ▼平田(6回に代打で右越え適時二塁打)早い段階からいくぞ、と言われていた。いい準備ができた。

 ▼益田(9回に4番手として登板し、3者凡退でセーブ)緊張感はありましたが、新しい代表になって最初の試合。いい形で締められればと思ってマウンドに上がった。

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