侍ジャパンは「13番目の球団」 小久保監督就任のワケは…

[ 2013年11月6日 06:00 ]

全体ミーティングの会場であいさつする小久保監督

連載・始動 小久保ジャパン(上)

(11月5日)
 小久保裕紀新監督(42)が率いる新生・侍ジャパンがいよいよ始動する。今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を逃した反省から、侍ジャパンはどのように生まれ変わるのか。若手中心で臨む台湾との強化試合(8~10日、台北)を前に、新監督誕生の背景、組織改革、ビジネス展開などを3回にわたって連載する。

 小久保新監督はソフトバンク、巨人の2球団で主将を経験し、2000安打を達成した名選手だが、指揮官としては未知数の42歳。12球団の中には「未経験者に監督が務まるのか」と懐疑的な意見もあったが、関係者は「若く色の付いていない部分こそ魅力」と人選に自信を見せた。

 侍ジャパンのイメージは「全日本」ではなく、日本野球機構(NPB)が常設する「13番目の球団」だ。NPBは「12歳以下から社会人、女子までプロとアマが合同で取り組み、あらゆる国際大会に対応できる万能チーム」と位置づける。小久保監督が率いるのはそのトップチーム。契約は17年3月開催予定の第4回WBCまでの約4年だ。

 監督の選任はNPB内に設置された侍ジャパン事業委員会の主要メンバーである島田利正委員長(日本ハム球団代表)、山岸均副委員長(巨人球団総務本部長)、沼沢正二事務局次長の3人で慎重に進められた。侍ジャパンは4年後を見据え成長させていくNPBの新規事業。委員会は「ベテラン監督にとっても初体験であることは変わらない。それならフレッシュな人材を」と大胆な戦略を立てた。

 12球団からの監督、コーチのオファーを考えると、4年という契約年数はネックとなる。その上で理念を受け入れてくれる人物を探した。最終的に小久保氏に一本化したのは9月に入ってから。12球団に通達したのは就任会見の1週間前だった。10月9日、都内の野球殿堂博物館で開かれた就任会見で小久保監督は「日本の野球が結束してひとつになった」と語った。

 6日、台湾戦へ向けた全体練習を開始する。いよいよ船出する新生・侍ジャパン。その存在は、WBC出場をめぐるNPBと労組・日本プロ野球選手会との労使折衝でも最大の焦点となっていた。

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2013年11月6日のニュース