初の頂点に歓喜一色 被災地から「まるで夢のよう」「ありがとう」

[ 2013年11月3日 23:51 ]

日本シリーズ第7戦 楽天3―0巨人

(11月3日 Kスタ宮城)
 スタンドを埋め尽くしたファンが抱き合い、喜びに沸いた。東日本大震災の被災地の期待を背負った楽天が3日、初の日本一に上り詰めた。「まるで夢のよう」「ありがとう」。球団創設から9年。地元・仙台で悲願を達成し、雨の球場は興奮に包まれた。

 楽天が先制し、その後に追加点を挙げると楽天ファンは総立ちに。エース田中将大投手が最後の打者から三振を奪うと、球場に大歓声が響いた。

 楽天のユニホームで応援した仙台市の主婦野村敏子さん(57)は「被災地に勇気と感動をくれたことに感謝でいっぱい」と涙を拭い、仙台市の小野寺文隆さん(70)も「9年前、こんな光景を想像できた人は誰もいない。まるで夢を見ているようだ」と喜んだ。

 被災地支援に取り組んできたという埼玉県羽生市の会社役員平岡勝治さん(48)は「楽天が勝つたびに東北が元気づいていくのが伝わった。復興の弾みになるのでは」。

 震災で大きな被害が出た宮城県石巻市の集会施設ではパブリックビューイングを実施。パート伊藤智美さん(45)は「震災後、楽天を応援することで元気になっていった。ありがとうと言いたい」と声を詰まらせた。

 宮城県南三陸町では被災した30店舗でつくる仮設の「南三陸さんさん商店街」に約60人が詰めかけた。経営していたクリーニング店が津波で流された三浦達也さん(45)は「心の片隅にいつも震災の光景がある。楽天が勝ち続けることが励みだった」と目を赤くした。

 銀次選手の古里、岩手県普代村の公民館では、銀次選手の祖父畠山保男さん(66)が星野仙一監督の胴上げに合わせて「万歳」と両手を挙げ、「最高の孫。よくやってくれた」と涙を流した。

 中学校の2年先輩で、捕手だった銀次選手とバッテリーを組んだ村職員前川正樹さん(28)は「ここまでの選手になるなんて」と脱帽。銀次選手は「自分は野球でしか(東北に)恩返しできない」と言っていたといい、「これ以上ない形で返してくれた」と感無量の様子だった。

 この日、球場に隣接する仙台市陸上競技場が無料開放され、1万人以上が特設モニターで試合の行方を見守った。

続きを表示

2013年11月3日のニュース