則本魂のロング救援で王手 2日マー君が東北で日本一決める

[ 2013年11月1日 06:00 ]

<巨・楽>8回2死、長野から三振を奪い、雄たけびをあげる楽天2番手・則本

日本シリーズ 楽天4-2巨人

(10月31日 東京D)
 コナミ日本シリーズ2013は31日、第5戦を行い、楽天が巨人を延長10回の末、4―2で破り、球団創設9年目での初の日本一にあと1勝とした。第1戦で先発した新人右腕の則本昂大投手(22)が中4日で6回から救援し右上腕部に打球を当てながらも5回79球と魂の投球で投げきった。10回には決勝の生還も果たした。2日の第6戦からはKスタ宮城に戻り、先発は無敗のエース、田中将大投手(25)。悲願の日本一へ、舞台は整った。

 延長10回。最後の打者・長野を二飛に仕留めると、則本は全身の力を抜くように身をかがめた。ようやく鬼気迫る表情が解け、安どの笑みを浮かべた。

 「涙が出そうになりました。疲れました。ホッとしました。王手をかけられたのは凄くでかい」

 10月26日の第1戦(Kスタ宮城)では新人投手としては、61年ぶりに開幕投手を務めた。8回124球で4安打2失点と好投しながらも敗戦投手となり、「めちゃくちゃ悔しい。やり返したい」と雪辱の舞台を待っていた。翌27日には球場で約30分間、黙々と走り込み「疲れたなんて言ってられない。どこでもいく」と次回登板に備えた。

 先発・辛島が5回無失点と好投。同じ90年生まれの左腕からマウンドを受け継いだ。だが、7回に村田に左中間ソロを被弾。9回1死一、三塁でまたしても村田と対峙(たいじ)。打球は自身の右上腕部に当たる内野安打で、同点に追い付かれた。「(辛島に)何とか勝ちを付けたかった。申し訳ない」と悔やんだが「ここをしのげば必ず逆転してくれる」と気合を入れ直して後続を断った。

 星野監督の言葉が自身の投球フォームの礎となっている。シーズン中、指揮官から「軸足でしっかり立って体重を乗せてからボールを投げろ」と何度もアドバイスを受けた。その星野監督が「うちはクローザーもセットアッパーもいないからな」と救援陣に頭を抱えていた。その弱点を埋めるため、第1戦で先発した今季15勝のルーキー右腕はブルペン待機。この日は3回裏から準備を始めた。

 中4日で疲れが残っていないわけがない。それでも「信頼してもらえていることがうれしい。その期待に応えたかったし、監督が一番、1勝の重みを分かっていると思うし、その思いに応えるだけでした」。背番号14は元広島・津田恒実さんと同じ。炎のストッパーのように気持ちを前面に出し、ひたすら腕を振った。5回79球。10回に自ら打席に立って四球で出塁すると、1死一、二塁から銀次の中前打で激走。全力疾走し、スライディングしながら左手で本塁ベースを掃いた。自身の日本シリーズ初勝利を手にする力投で日本一へ王手をかけた。そして決戦の舞台は地元仙台。「あとは田中さんが抑えてくれると思うので、お任せします」。絶対的エースにつないだバトン。頂上は、もうそこまで見えている。

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2013年11月1日のニュース