マー君 日本Sでも負けない30連勝 スプリット多投で裏かく

[ 2013年10月28日 06:00 ]

<楽・巨>6回2死満塁、田中はロペスを空振り三振に斬って雄叫びを上げる

日本シリーズ第2戦 楽天2―1巨人

(10月27日 Kスタ宮城)
 不敗のエースは負けるわけがない。コナミ日本シリーズ2013は27日、第2戦を行い、楽天が2―1で巨人を下して1勝1敗のタイに戻した。先発の田中将大投手(24)はシリーズ初登板で1失点12奪三振で完投し、球団にシリーズ初勝利をもたらした。今季開幕からポストシーズンを合わせて26連勝で、昨年8月からの連勝は30に到達した。日本一を目指す星野楽天は最高のムードで29日に第3戦が行われる敵地・東京ドームに乗り込む。

 体の底から雄叫びを上げた。「ヨッシャー!」。次の瞬間、一回転。田中はナインに闘志を見せるかのように、豪快なガッツポーズを見せた。

 「自分でつくったピンチだったので、しっかり自分で抑えなければいけないと思っていた」。0―0の6回。2死から警戒した阿部と高橋由に2四球を許すなど、満塁にされた。だが満塁ではレギュラーシーズンで15打数1安打、被打率・067。ピンチでギアを上げるのが田中の真骨頂だ。ロペスを迎え、内角へのこの日最速152キロ直球で空振り三振を奪った。

 前日の初戦は零敗を喫し、この日も5回までスコアボードに「0」が並んだ。田中はいう。「ここを抑えれば流れが来る、と考えて投げる時もある」。打線がシリーズ初得点を刻んだのは6回。エースが最大のピンチを力でねじ伏せ、気迫を目の当たりにした直後だ。24勝0敗1セーブだったレギュラーシーズンでも同じような光景が何度もあった。8回に寺内に「失投だった」と反省するソロを浴びたが、初戦を落として絶対に負けられない状況で、毎回の12奪三振で1失点完投した。

 ロッテとのCSファイナルSでは17日の初戦に完封勝利を挙げた。その試合で120球中16球だった決め球スプリットが、この日は127球中43球に増えた。ファーストストライクから積極的に振ってくる巨人打線の裏をかき、直球の42球を上回る球数を投げ込んだ。

 CS突破を決めた21日に守護神でセーブを記録。フル回転の影響で疲労はピークに達していた。試合後、佐藤投手コーチから中4日でシリーズの開幕か、中5日で第2戦に回るかを打診された。万全を期すために迷わず第2戦を選んだ。翌22日。Kスタ宮城での自主練習で、約2カ月ぶりに遠投を行った。重圧のかかる場面では細かい制球力が求められる不慣れなリリーフ登板で無意識にフォームが小さくなっていた。登板前々日の25日にブルペン投球を実施。大きなフォームが戻り、納得の34球を投じた。たかが1日。されど1日。中5日で剛球が戻った。

 交流戦で2戦2勝した巨人を返り討ちにし、シリーズ初登板でも「重圧は特になかった」という。風格たっぷりのエースに星野監督も「ペナントレースよりも初回から気合が入っていた。田中に尽きます」と感謝した。試合後、周囲と田中の喜びには明らかに温度差があった。悔やんだ理由は「完封したかった」というから恐れ入る。次回先発は第6戦の見込みも、状況によっては救援登板もある。強い巨人をねじ伏せて初の日本一。それが、エースの青写真だ。

 ≪毎回奪三振は7人目≫田中(楽)がシリーズ初登板で毎回の12三振を奪い完投勝利を挙げた。毎回奪三振は81年日本ハム第2戦の西本(巨)、08年巨人第4戦の岸(西)に次ぎ3人目。12奪三振以上は07年中日第1戦で13奪三振のダルビッシュ(日)以来7人目(8度目)になる。第1戦では同僚の則本も10三振を奪っており、シリーズでチーム2度の個人2桁奪三振は07年ダルビッシュ(日)が2度達成して以来。2投手で2試合連続は楽天が初めてとなった。

 ≪シリーズ初登板勝利≫田中は今季公式戦24勝0敗で最多勝。シーズン最多勝投手のシリーズ初登板勝利は、11年中日第4戦ホールトン(ソ)以来6人目。20勝以上に限ると59年巨人第1戦杉浦(南海)以来54年ぶり4人目となった。また規定投球回を投げ無敗投手のシリーズ登板は、81年15勝0敗の間柴(日)に次ぎ2人目。間柴はプレーオフで1勝したもののシリーズは2試合で2敗しており、勝ったのは田中が初めてだ。

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