東尾修氏が分析 裏目に出た楽天バッテリーの長野への勝負球

[ 2013年10月27日 11:30 ]

<楽・巨>5回1死一、三塁 右前適時打を放つ長野

日本シリーズ第1戦 巨人2―0楽天

(10月26日 Kスタ宮城)
 シリーズの怖さが一球で浮き彫りになった。巨人が先勝したコナミ日本シリーズ2013の第1戦。スポニチ本紙評論家の東尾修氏(63)は5回のピンチで楽天バッテリーの意思の曖昧さが敗戦につながったと指摘した。失策から始まり、不用意な1球を長野に痛恨の決勝打。対する巨人は原監督が迷いのない継投に出て逃げ切った。第2戦の楽天先発は今季無敗の田中だけに、巨人には価値ある先勝となった。

 楽天の新人・則本は素晴らしい内容だった。それでも勝てない。そして打たれた1球がクローズアップされてしまう。そこにシリーズの怖さが如実に表れていた。

 【5回1死一、三塁から則本が巨人・長野に喫した決勝の右前打】この回は先頭の坂本のヒット性の打球を好捕した一塁手・銀次がカバーの則本へ悪送球。打ち取った先頭打者がエラーで走者に出たことで「抑えよう」という気持ちが強くなった。亀井の左中間二塁打などで1死一、三塁。打席に長野を迎えた。それまでの2打席はタイミングをうまく外してバッティングをさせていない(右飛と空振り三振)。特に外のボールは長野が手だけで打ちにいくなど全く合っていなかった。

 簡単に追い込んで1ボール2ストライクからの5球目。果たして則本―嶋のバッテリーはどう考えていたか。嶋の要求は外角直球。それがバットの届くストライクゾーンに来て、手で当てただけの打球が一、二塁間を割ってしまった。直球の選択は間違いではない。ただ、このカウントから投げるならバットの届かないボールゾーン。おそらく嶋もボール球と考えていたのだろう。しかし、則本に意思が伝わっていたかどうか。投げたのはバットに届く直球だった。

 それまでの2打席を見れば、このカウントなら外のスライダーかフォークでいい。直球でもボール球ならいい。この日の則本は細かいコースは狙わず、しっかり腕を振って切れの良さで抑えていた。そこへ、勝負にいくのかどうかはっきりしない外角直球。当てただけでも長野の技術でヒットコースへ運ばれた。

 ただ、則本の投球は巨人の強力打線に対し、後の投手陣に「いける」という感覚を残した。星野監督が「0点じゃ勝てない」と言ったように、打線が則本の1球を痛恨の失投にしてしまった。

 【迷いのなかった巨人・原監督の継投】則本の内容が良かった楽天よりも、巨人の方が継投のタイミングは難しいとみていた。しかし、原監督は6回無失点の先発・内海をスパッと交代。シーズン通りにマシソン―山口―西村の継投に出た。シリーズを4勝するうち、少なくとも3勝はこの継投になる、と想定していたからの決断だろう。

 内海は3者凡退は初回だけ。2回以降は毎回走者を背負い、打たれながらも失点はしない。これもシーズン中と同じような内容で、ベンチもよく分かっている。だから無失点でも交代に躊躇(ちゅうちょ)はなかった。ただ、計算が違ったとすれば、3投手とも簡単に走者を出したことだ。特に7回のマシソンは先頭の松井に四球。1死後、岡島にも四球を与えたため、左の山口が8回に右のジョーンズ、マギーの中軸と対戦することになってしまった。7回を打者3人で終えていれば、8回の楽天の打順は1番・岡島から左の3人だった。

 ただ、3人とも計算は違っても心配は無用。CSファイナルステージから間隔が空いて実戦勘が鈍っていたことで走者を許しただけで、完璧に打たれてはいない。むしろ僅差で3人ともマウンドを踏んだことは、第2戦以降にプラスだろう。

 【価値ある巨人・村田の8回の一発】巨人打線で特にクリーンアップは則本に完璧に抑えられた。3人で10打数1安打6三振2四死球。その中で8回2死から村田が打った。初球の外角高めの甘い直球。相手の力を利用し、バットを少しボールの下に入れて右方向へ運んだ。4、5回の連続三振はいずれも落ちる球を空振り。そこで追い込まれる前に打とうとの意識で、2死無走者という状況も考えて長打を狙った。これで2点差。計算の狂った8回の継投でも、左の山口を安心して中軸相手に送り出せたのだから価値は大きい。
 5回の長野の打撃もそうだが、苦しめられた則本に対し、右方向へ技術で何とかした。わずか4安打2得点。しかし、抑えられても底力を見せるのが巨人打線だ。
 27日の第2戦は田中が相手。そう簡単には打てないが、先勝で気持ちには余裕がある。もし田中を攻略すれば一気に行く可能性も出てきた。

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