【野球のツボ】阪神コーチ就任を受けて

[ 2013年10月21日 16:30 ]

阪神の1軍内野守備走塁コーチに就任が決まり、会見する高代氏

 既にいろんなメディアで報じられているが、このたび、阪神タイガースから1軍コーチ就任の要請を受け、受諾した。21日に、阪神の球団事務所で、就任会見を行った。改めて身が引き締まる思いでいる。

 甲子園は先ごろ行われたクライマックスシリーズ第1ラウンドの広島戦で、放送のゲストとして足を踏み入れたばかり。正直に言うが、そのときはコーチの打診もなかったので、まさかこんな展開になるとは思ってもいなかった。

 ただ、放送前の準備として、阪神と広島の練習段階での動き、特にシートノックは注目していた。戦う前から、阪神の選手それぞれの動きにキレがなく、9月に失速してからの流れがそのままで来ているな、という印象を持っていた。結果は広島にいいところなしの2連敗。危惧した通りになった。

 試合でも、ポロポロと阪神にミスが出て、広島に主導権を渡した形になった。特に大きかったにはCS2戦目の2回の攻防だ。2回1死一塁で、藤井彰の打球をエルドレッドが左翼フェンスに激突しながらキャッチ。一塁走者・坂は戻ることができずに併殺。広島の素晴らしい守りだったが、坂の打球判断のミスだと私は分析した。

 「抜けた」という思い込みでスタートを切り、戻ることが出来なかった。これはアウトになった理由にはならない。打球判断で重要なのは、直観ではなく、あくまで目で見ての判断。見た上で判断していたら、一塁には戻れていたはず。こうした細かいミスの積み重ねが勝者と敗者を分けるのだ。

 私が阪神新コーチとして担当するのは守りと走塁の2部門。思い込みを排除し、しっかりと判断して、敵に主導権を握らせないようにすること。そうしたチーム全体の修正を期待されて、今回声がかかったと思っているので、やるべきことを、しっかり出来るチームに鍛えていきたいと思っている。守備力と機動力が下がると、チームの失点が増える。そうならないように、すき間を埋めていきたい。

 広島や中日のコーチ時代に、阪神と戦ってきた。阪神が一番手ごわかったのは、赤星の足と矢野のインサイドワークが武器だった時代だ。特に赤星の存在は敵として、本当に嫌だった。走ってくるのか、エンドランをかけるのか。相手の出方が全く読めないと思わせるだけで、阪神は優位に立っていた。赤星のような選手を鍛えて作りたいと、今は思っている。

 CSを振り返ってみると、チャンスを作り、そして還すというプレーがしっかり出来ていたかいないかの差だった。秋季キャンプから、まずここを鍛えていきたい。選手に対しては「高代コーチの言っていることは分かりやすい」と納得してもらえるような指導を続けたい。これが私の抱負だ。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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