嶋 読み勝ちV打!里崎のリード読み切りバット短く持った

[ 2013年10月20日 06:00 ]

<楽・ロ>2回2死一、三塁、適時二2塁打を放つ楽天・嶋

パ・リーグCSファイナルシリーズ第3戦 楽天2―0ロッテ

(10月19日 Kスタ宮城)
 「よくやった!」「よくやったぞ!」。楽天・嶋の口からは、同じ言葉しか出てこなかった。マウンド上で完封勝利の美馬と思い切り抱き合った。一緒に上がったお立ち台では、Kスタ宮城最多の2万4396人で埋まったスタンドに向かって絶叫した。「皆さん、美馬に拍手をしてあげてください!」。その右腕を自身のバットで助けたとなれば、喜びは二倍三倍だ。

 「(古谷には)これまで内角で詰まらされるか、三振か…。まだ2球目だったので余裕があった。内角直球に狙いを絞って、そこを仕留められれば、と思った」。

 2回2死無走者から枡田が死球、松井が中前打で続き2死一、三塁となった。初球。その内角直球を思い切り振り抜いた。ファウル。2球目、同じ捕手である里崎のリードの傾向を、配球の癖を読み切った。もう1球、同じ球が来る――。一握りバットを短く持ち、体を開いて、内角直球を見事に仕留めた。左翼線二塁打。先制、そして決勝の2点を叩き出した。

 マスクをかぶれば、懸命に投手をもり立てる。6回1死。4番・今江にカウント2ストライクとなった場面で、マウンド上の美馬に向かって2度、自らの頭をポンポンと指さした。「カウントを考えろ。ボール球でいい」の合図。9球かけてじっくり攻め、最後はフルカウントからスライダーで見逃し三振を奪った。

 短期決戦。実は井口、今江の要注意打者に対し、嶋は巧妙かつ大胆に餌をまいていた。「(過去2戦先発の)田中、則本と、しつこいなというぐらい内角を投げた。これでもか、と意識付けをさせて、外角低めのスライダーで…と思っていた」。美馬はそのスライダーこそが持ち味。3、4番を6打数無安打に封じ、今江からの2奪三振はともにスライダーだった。

 前回、ポストシーズンに進出した09年は1試合に途中出場しただけだったが、今や扇の要にどっしり座る楽天の頭脳。「本当に疲れた。神経をすり減らした。倒れそう…」。打ってもリードでも「読み」の鋭さを発揮し、悲願の日本シリーズ出場まであと1勝。その瞬間を迎えれば、嶋の疲れなど一瞬で吹き飛ぶ。

 ▼楽天・松井(2回にCS初安打となる中前打)あしたの試合も全員で勝ちにいく。

 ▽嶋の09年CS 公式戦ではチーム最多の84試合に先発出場したが、シーズン終盤は中谷との正捕手争いが激化。CSではその中谷と故障から復帰した藤井(現阪神)が先発で起用され、嶋は日本ハムとの第2ステージ第4戦に守備で途中出場しただけ。打席には一度も立たなかった。

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