もん絶続きの阿部 CSスイープ打「本当、当たり日だったね」

[ 2013年10月19日 06:00 ]

<巨・広>日本シリーズ進出を決め、場内を一周する阿部(手前)ら巨人ナイン

セ・リーグCSファイナルステージ第3戦 巨人3―1広島

(10月18日 東京D)
 巨人初のCSスイープを決めた。セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は18日、ファイナルステージ(6試合制)の第3戦が行われ、巨人が広島を3―1で下し3連勝。リーグ優勝による1勝のアドバンテージを加えて、2年連続34度目の日本シリーズ進出を決めた。主将の阿部慎之助捕手(34)が3回に中前に同点打を放ち5回にも右前適時打。主砲の貫禄を示した。昨年は3連敗からの突破だったが、今年は圧勝。原巨人は40年ぶりの日本一連覇へこれ以上ない勢いをつけた。

 主将は激痛との闘いに勝った。1点を追う3回。阿部は2死一、二塁から野村が投じた109キロのスローカーブに踏ん張った。腰が開かずに止まるツイスト打法で拾い、中前に同点打を運んだ。

 「大事なところで打ててよかった。前の打席(一ゴロ)は力んで、何とかしなきゃという気持ちが先行していた」。バットを短く持ち、コンパクトに振り抜いた。第3戦で初打点だった。

 16日の第1戦では股間にファウルチップが直撃。もん絶して脂汗が噴き出し、ベンチに下がり、治療を受けた。2日たっても痛みは完全に消えない。「半年痛みが続くこともあるみたい。歩くのもがに股になっちゃう。打席でも、がに股になっちゃうかな」と話した直後に再び悪夢が襲った。適時打の直前、3回の守備でファウルチップが左太腿を襲った。ミットを投げ捨て、もん絶だ。「本当、当たり日だったね」。痛さには慣れた。続く5回1死二塁でも右前適時打で追加点。主将として最後にきっちり、球団初のスイープでのファイナルS突破に導いた。

 ポストシーズンで痛みと闘ったのは両足首痛、右膝裏痛と苦闘した昨年と同じ。ただCSの勝ち上がり方は雲泥の差だ。「去年ああいう窮地に立たされ、しんどい思いをして、やっと日本一になれた。短期決戦では1敗で流れが変わる。みんな負けて悔しい思いをするのは嫌だから」。昨年は中日に3連敗。後がなくなり、そこから3連勝で辛くも突破した。王手をかけられた第4戦前に選手だけを集めた緊急ミーティングを開き「開き直るのも嫌だけど、いい意味で開き直り、あすも野球ができるように何とか勝とう」と訴えた。それが、今年は開幕前日、やはり選手だけを集めて「とにかく集中していこう。自然体でいきましょう」と言った。普段着の野球を求めると、選手個々が役割を果たした。「3連勝できると思ってなかった。カープも凄い勢いがあった中で凄く価値ある3連勝だったと思う」。浮足だった昨年の轍(てつ)を踏まない、地に足着けた横綱相撲だ。

 「日本シリーズはこんなうまくいくわけはないから。苦しんで、苦しんで、最後には喜べればいい」。戦う相手は今季2戦2敗を喫した田中率いる楽天か、1勝3敗と今季11球団中唯一負け越したロッテか。スイープの余韻はあえてかき消すように、73年のV9以来40年ぶりの2年連続日本一を厳しい表情で見据えた。

 ≪07年中日以来≫巨人が初戦から3連勝でアドバンテージを含む4勝0敗とし、2年連続34度目の日本シリーズ進出を決めた。巨人のCS優勝は08、09、12年に次ぎ4度目。セでは中日の3度を上回り最多となった。プ レーオフ、CSを無敗で日本シリーズ進出は昨年の日本ハムに次ぎ延べ8チーム目、セでは07年の中日(第1Sを含め5勝0敗)以来2チーム目だ。これでファイナ ルSで6回戦制を導入した08年以降、セはリーグ優勝チームが6年連続でシリーズ進出となった。原監督にとっては5度目の日本シリーズ出場。巨人では川上監督11度、水原監督8度に次ぎ、長嶋監督と並ぶ3位タイになる。

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