完全救援の上原に地元紙大騒ぎ「実はスプリットを投げるヨーダじゃないか」

[ 2013年10月19日 06:00 ]

<タイガース・レッドソックス>勝利し喜ぶレッドソックス・上原

ア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦 レッドソックス4―3タイガース

(10月17日 デトロイト)
 レッドソックスは17日(日本時間18日)、ア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦でタイガースを下して3勝2敗とし、リーグ優勝へ王手をかけた。抑えの上原浩治投手(38)は4―3の8回1死から登板し、打者5人を相手に完全救援。今シリーズの成績を1勝2セーブとし、救援投手では同シリーズ史上3人目となるMVPも見えてきた。また田沢純一投手(27)は4―1の6回1死一、二塁から登板し、1回1/3を3安打1失点だった。

 疲れ果ててフラフラだった。27球で5アウト。最後の打者を9球目でようやく二飛に仕留めた上原は、捕手ロスと抱き合うと大きく息をついた。

 「何とかゼロで抑えられたので良かった。疲れないわけがないでしょう。精神的にしんどいですからね。もう足がガクガクです」

 8回1死からの出番は、今ポストシーズン初めて。それでも連続三振で8回を切り抜けると、9回は「半分開き直り。打たれたって知らない、みたいな感じで投げた」と気力で3者凡退に抑えた。5アウトセーブは地区優勝を決めた9月20日以来今季2度目だ。

 ポストシーズン7試合に登板し「イニングまたぎ」はすでに3試合目。フアン・ニエベス投手コーチは、09年ポストシーズンのマリアノ・リベラ(ヤンキース)の起用法をモデルにしているという。このときのリベラは12試合で4アウト以上が6試合もあったが「彼はうちのマリアノ・リベラ。1試合の平均球数が少ないコウジなら可能だ。次も8回途中から投げるよ」と明かした。

 これで今シリーズは4試合で1勝2セーブ、防御率0・00。一気にシリーズMVP候補に躍り出た。過去に同シリーズのMVPに輝いた救援投手は、通算197勝390セーブのデニス・エカーズリー(主にアスレチックス)と、リベラの2人だけ。上原が選出されれば伝説の守護神の仲間入りとなる。この活躍ぶりに地元紙レパブリカンは「パスポートを見せてもらいたい。日本国籍というが、実はスプリットを投げるヨーダじゃないか」と表現。SF超大作「スター・ウォーズ」の人気キャラクターで、800歳を超えながら圧倒的な強さを誇る伝説の戦士と重ねて褒めちぎった。

 ポストシーズン4セーブ、年間80試合登板はいずれも日本投手最多。「休みたいです」と苦笑いするほど疲れはあるが、ワールドシリーズ進出まで、ついにあと1勝までこぎつけた。

 ≪日本人投手初の年間80試合登板≫上原が日本投手初の年間80試合登板を果たした。これまでは06年ドジャース斎藤(レギュラーシーズン72試合)と07年レッドソックス岡島(同66試合)の74試合。ちなみに日本プロ野球では07年の阪神・久保田の92試合(同90試合)が最多で、11年の中日・浅尾の88試合(同79試合)が続く。上原の今ポストシーズン4セーブも、00年に3セーブを記録したマリナーズ佐々木を上回った。なお、第5戦は今シリーズ4試合目の1点差試合で、これはア・リーグのタイ記録。またレ軍のボガーツが、ベーブ・ルースの21歳246日を上回る21歳17日で、球団史上最年少でのスタメン出場を記録した。

 ≪メジャーは4アウト契約が原則≫上原が5アウトセーブを記録するのは、オリオールズ時代の10年8月31日レッドソックス戦、今季9月20日のブルージェイズ戦に続き自身3度目。ポストシーズンで1回2/3以上を投げてセーブをマークしたのは、球団では07年ワールドシリーズ第4戦のパペルボン以来3人目となった。メジャーでクローザー契約を結ぶ投手は4アウトが原則とされており、回をまたいでの登板も少ない。ただ、上原はシーズン途中からクローザーに抜てきされた経緯があり、極めて珍しい5アウトを奪ってのセーブとなった。

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2013年10月19日のニュース