大地 値千金の先制弾「仙台で“下克上・シーズン2”をやりますよ」

[ 2013年10月15日 06:00 ]

<西・ロ>5回、先頭の鈴木が先制の右越えソロを放つ

パ・リーグCSファーストステージ第3戦 ロッテ4―1西武

(10月14日 西武D)
 無意識にバットが出た。0―0の5回。牧田の投じた1ボールからの2球目のチェンジアップに、ロッテ・鈴木の体が反応した。「きょうはヒーローになりますよ」と宣言通りの先制ソロは、ロッテファンで埋まった右翼席に吸い込まれた。

 「井口さんに、短期決戦はどんどん振っていけと言われた。何としても塁に出たい気持ちが本塁打になった」

 その井口も続いた。6回先頭で、牧田の初球をバックスクリーンに運ぶ2号ソロ。「(鈴木)大地の一発でベンチの雰囲気が変わった。いい流れで打席に入ることができた」。伊東監督はCS前からファーストストライクから積極的に振っていく重要性を説いていたが、見事に実践した。

 鈴木は今季6本目の本塁打だが、なんと4本が井口とのアベック弾だ。うち1度は、井口が日米通算2000安打を達成した7月26日楽天戦(Kスタ宮城)で、そろって田中を攻略した。9回に逆転サヨナラ負けしたが、24勝0敗で終えた球界No・1右腕を今季最も追い詰めた試合だった。

 今季、井口は守備の負担を減らすため、4月途中に二塁から一塁にコンバートされた。現在は遊撃手に回ったが、その時に二塁の守備位置を受け継いだのが鈴木だ。38歳の井口は「俺の横で試合を見ろ」と、ベンチでは常に24歳の鈴木を隣に座らせている。

 鈴木は井口の肉体に驚く。「ロッカーで見るとアザだらけ。そんな状態でもシーズンを通して結果を出している。自分も強い選手になりたい」。今季は井口より2個多い12死球(リーグ3位タイ)。痛みで腕が動かないこともあったが、師匠に近づきたいという思いがチームで唯一の全試合出場を支え、大舞台での活躍につながった。

 ファイナルSの相手は楽天。井口が「マー君との対戦は楽しみ」と言えば、鈴木は「仙台で“下克上・シーズン2”をやりますよ」とノリノリだ。10年にも同じく3位から日本一に輝いたナインの合言葉は「下克上アゲイン」。田中にアベック弾を浴びせた師弟コンビが、その言葉を現実のものにする。

 ▽鈴木&井口のマー君討ちアベック弾 7月26日の楽天戦(Kスタ宮城)でマーク。開幕から負けなし13連勝中の楽天先発・田中から、2回に鈴木のソロで先制すると、同点の6回に井口が勝ち越しソロを放ち、日米通算2000安打を記録。9回表の時点で2―1とリードし田中の連勝が止まるかと思われたが、守護神・益田が打たれて逆転サヨナラ負け。完投した田中は連勝を14に伸ばした。

 ≪今季レギュラーシーズンは14の6≫鈴木(ロ)が5回に牧田(西)からV打となる先制本塁打。今季レギュラーシーズンでは牧田に対し14打数6安打(打率.429)と打ち込んでおり、短期決戦でも相性の良さを発揮した。ロッテは第1戦で井口が1回に決勝の先制本塁打。3回戦制のプレーオフ第1S、CSファーストSで2勝とも本塁打がV打となったのは、04年西武が第1戦佐藤勝ち越しソロ、第3戦和田サヨナラソロ、12年中日が第1戦和田先制2ラン、第3戦ブランコ逆転満塁と記録したのに次いで3度目だ。

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