阪神・桧山 惜別弾 44歳ポストシーズン最高齢アーチ

[ 2013年10月14日 06:00 ]

<神・広>9回2死一塁、桧山は現役最後の打席を2ランで飾る

セ・リーグCSファーストステージ第2戦 阪神4―7広島

(10月13日 甲子園)
 甲子園が泣いた。5点リードを許しての9回2死一塁。代打・桧山はミコライオが内角低めに投じた154キロを強振する。打球は右翼席へ。悔しさと意地を胸に、44歳のベテランが現役最終打席で自身2年ぶりとなる本塁打を放った。

 「僕にも野球の神様がついていてくれたのかな。正直、あまりにもいい打ち方ができすぎて、自分でも驚いた。体が自然とクルッと回って…。最後の最後まで悔しい思いで22年間が終わるのかなと思って打席に入ったけど、22年間で一番のホームランかもしれんね」

 スタンドでは紗里夫人(37)、長男・周成くん(11)、次男・宗秀くん(8)が見守っていたが、家族の前での本塁打も「初めて」だった。

 9月7日の引退会見。阪神が長期低迷した「暗黒時代」に4番を務めた桧山は、やり残したことに「日本一」と即答した。まだ経験したことのない最後の夢をかなえるための戦いがCSだった。しかし、今回もチームは短期決戦での弱さを露呈して、2連敗で終戦。桧山自身も10月5日の巨人戦(甲子園)での引退試合後も、「戦力」としてポストシーズンのベンチに入った。前日の第1戦では7回1死一、二塁の好機で遊飛に凡退。それだけに、「ファンの皆さまには申し訳ない気持ちでいっぱい。もっと自分が貢献できていたら違っていた」と謝罪した。

 それでも、「惜別弾」で、どんな状況でも諦めない姿勢を最後にチームに示した。「優勝できるよう、あとは後輩に託して。背番号24をつけた選手には自分の色を出して、自分の歴史を築いていってほしい」と話した。

 試合後。甲子園は「桧山コール」が鳴りやまなかった。右翼スタンドに向かって走り、帽子をとって何度も頭を下げた。そして、手を振って応えた。最後は右翼の芝生にそっと触れた。この日の屈辱的な敗戦とともに、その大きな大きな背中を、阪神ファンは忘れない。

 ≪44歳ポストシーズン最高齢アーチ≫44歳3カ月の桧山(神)が9回に代打本塁打。プレーオフ、CSの代打本塁打は12日の岩本(広)に次ぎ11本目だが、阪神では初めてだ。また、ポストシーズンの40代アーチは9本目になるが、桧山は03年広沢(神)の41歳6カ月を2歳9カ月更新する最高齢本塁打になった。なお、公式戦の44歳3カ月以上での本塁打は、プロ野球記録となる45歳5カ月で打った岩本(東映)を筆頭に、野村(西)、門田(ダ)、落合(日)、金本(神)の5人しかいない。

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