慶大2年生左腕・加嶋、27人斬りのノーヒッター!

[ 2013年10月8日 06:00 ]

<東大・慶大>ノーヒトノーランを達成し笑顔でガッツポーズする慶大・加嶋

東京六大学野球 慶大5―0東大

(10月7日 神宮)
 慶大の加嶋宏毅投手(2年)が、東大2回戦でリーグ史上23人目(通算24度目)のノーヒットノーランを達成した。8回に四球を与えたが、盗塁死もあって打者27人で抑える準完全試合。直球は140キロに満たないが、変化球を効果的に使い11三振を奪った。チームは東大に2連勝し、勝ち点を3とした。一方、敗れた東大は、今春の早大戦で高梨雄平投手(3年)に完全試合を許しており、一年で2度目の屈辱を喫した。

 99球目。加嶋が、膝元に118キロのチェンジアップを決めた。空振り三振。史上23人目のノーヒットノーラン。左拳を力強く握り、吠えた。

 「試合前から完全試合をやってやると思って投げた。1人目のアウトを取って“あと26”と」

 初回に3者連続三振で立ち上がると、7回まで完全投球。8回、先頭打者に四球を与えたが、気持ちを切り替え、快挙を達成した。盗塁死もあって、打者27人での料理。スライダー、チェンジアップを低めに集め11奪三振の快投に「球場全体が僕の味方のような感じだった」と胸を張った。

 中学時代は最速108キロの3番手投手。慶応志木(埼玉)では左肘を痛めた影響で3年夏は初戦で敗退した。慶大入学と同時に肉体改造に着手。一日6度の食事で体重を9キロ増の79キロとしたが「動けなくなった」ために75キロまで絞った。今夏の北海道キャンプでは連日200球を超える投げ込みを敢行。最速は141キロまで伸びた。10年春にノーヒットノーランを達成し、今春卒業した先輩左腕・竹内(トヨタ自動車)から背番号19を引き継ぎ、肩を並べた。

 1日の法大4回戦では1年生の加藤に先発を譲り「悔しかった。監督この野郎と思っていた」と負けん気の強さを見せた。スタンドで両親が見守る中での大記録。父・精一さん(61)は「野球を始めたときに両方の腕で球を投げられた。左の方がいいと思って、グラブは左利き用にした」と快挙に目を丸くした。

 ベンチ裏で江藤省三監督とがっちり握手した加嶋は「打てそうで打てない投手を目指したい」と、してやったりの表情を見せた。

 ▼慶大江藤省三監督(加嶋について)いやいや、久しぶりに汗をかいた。まさかノーヒットノーランとはねえ。

 ▼慶大小笠原(好リードで大記録を演出)真っすぐもスライダーも甘い球がなかった。低めに決まっていた。

 ▼東大・浜田一志監督(リーグ史上初めて同じ年に2度の無安打無得点され)一年に2度も試練があると思わなかった。

 ◆加嶋 宏毅(かじま・こうき)1994年(平6)3月21日、東京都生まれの19歳。小2から野球を始め、青戸中では軟式野球部に所属。慶応志木では1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。3年夏は1回戦敗退。慶大では1年春からベンチ入りし、同年秋にリーグ戦初勝利。通算12試合で2勝2敗、防御率2・76。左投げ左打ち。

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