田沢 歴史的1アウト!アマからメジャー入り日本人PS初登板

[ 2013年10月6日 06:00 ]

<レッドソックス・レイズ>8回2死一、二塁で登板し、マイヤーズを右飛に打ち取ったレッドソックス・田沢

ア・リーグ地区シリーズ第1戦 レッドソックス12―2レイズ

(10月4日 ボストン)
 ア・リーグの地区シリーズが4日(日本時間5日)開幕し、レッドソックスはレイズとの第1戦に12―2で大勝。08年以来5年ぶりのポストシーズン勝利を挙げた。田沢純一投手(27)は6点リードした8回2死一、二塁から登板し、打者1人を打ち取って勝利に貢献。日本のプロ野球を経ずに大リーグに挑戦した日本人選手がポストシーズンに出場するのは史上初めての快挙となった。

 フェンウェイ・パークは異様な雰囲気に包まれていた。8―2の8回2死一、二塁。相手に傾き掛けた流れを止めるべく、セットアッパーの田沢がマウンドへ。打者はマイヤーズ。4回に右翼への飛球をお見合いし、レッドソックスの逆転劇を演出してくれた3番打者に対し、満員の観衆は「マイヤーズ!、マイヤーズ!」と皮肉を込めた大合唱でプレッシャーをかけた。

 「いつもより声援があるかなと思うぐらいで、そんなに特別な感じではなかった」。大歓声にも自分を見失わず、田沢は腕を振った。2球連続で際どいコースがボールと判定された後の3球目。94マイル(約151キロ)が真ん中に行ったが、力で押し込み右飛に仕留めた。

 その裏に味方が4得点。「ストライクが入って良かったです」と胸をなで下ろした田沢は打者1人でお役御免となった。チームが前回ポストシーズンに出場した09年は登録外でベンチで雰囲気を体感しただけ。日本のアマチュア球界から直接メジャー入りした選手がポストシーズンに出場するのは初めてとなり「たいしたことではないでしょうけど、少しでもそう(アマチュア球界の刺激に)なれば良いですね」と表情を緩ませた。

 チームはポストシーズン史上77年ぶりとなる全員安打&全員得点。勝利への合言葉は中堅の芝生にも刻まれた「BOSTON STRONG」だった。試合前には4月のボストンマラソン中に起きた連続爆破テロの犠牲者を追悼するセレモニーを開催。遺族や、負傷者、救援に回った医師や看護師、警察官らを招待し、ラリー・ルキーノ球団社長は前夜「当日は赤い物を必ず着用するように」と職員全員に指示した。ボストンが一丸となって臨んだ試合だった。

 地区シリーズ突破まであと2勝。田沢は「次に向けてしっかりと準備していきたい」と気を引き締めた。市民が心待ちにする世界一への戦いはまだ始まったばかりだ。

 ▼レッドソックス、ジョン・ファレル監督 4回に幸運な二塁打で流れをたぐり寄せ、うまく畳み込めた。試合前のセレモニーは素晴らしかった。球団はこのような難題にも常に心から向き合っている。

 ▼レッドソックス・オルティス 4回の右翼への打球は捕られると思ったが、気づいたら野手の後ろをバウンドしてブルペンに入っていた。何が起こるか分からない。これが10月の野球。

 ≪77年ぶり快挙≫レッドソックスはポストシーズン史上3度目となる野手9人全員が安打と得点を記録。過去には34年カージナルス、36年にヤンキースがマークしており、77年ぶりとなった。12得点は07年のロッキーズとのワールドシリーズ第1戦で挙げた13点以来の大量得点で、本塁打なしでは球団史上最多。1試合で2イニングで打者一巡するのは、99年のインディアンスとの地区シリーズ第4戦以来で球団史上2度目。

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