マー君 ブルペン待機で球団初V胴上げ投手だ!

[ 2013年9月26日 06:00 ]

<西・楽>リラックスした表情で練習する田中

パ・リーグ 楽天2-4西武

(9月25日 西武D)
 絶対エースで胴上げだ!楽天は25日、西武戦に敗れたが、2位ロッテも負け、優勝マジック2。26日にも球団創設9年目で初優勝が決定する。当日は07年のプロ入りから看板投手としてチームの投手陣を支えてきた田中将大投手(24)もブルペン待機。優勝が決まる「最終回」のマウンドに上がる。2年前の東日本大震災の発生からは復興の象徴として戦った。球界の新規参入球団が歴史をつくる。

 試合をベンチ裏で見届けた田中は、練習着姿で通路に現れると2番手で緊急登板した福山と右拳を合わせた。それから「お疲れさん」とねぎらうように4回1/3を無失点と好投した同い年の右腕の背中を優しく叩いた。

 2試合連続、西武ドームに限ると4試合連続のサヨナラ負け。だが、落ち込む暇はない。26日に西武に勝って、ロッテが日本ハムに敗れると球団創設9年目の初優勝が決まる。歴史的瞬間、そのマウンドに立っているのは田中だ。星野監督は今月中旬に「田中を胴上げ投手にしたい」と周囲に夢プランを語っていた。その意向は数日前に首脳陣から田中に伝えられた。当日、ブルペン待機させ、胴上げの条件が整えば最後の1イニングを絶対的なエースに預ける考えだ。

 この日、田中は西武ドームで練習。26日に先発予定の美馬が一塁ベンチ前で報道陣に囲まれているのを発見すると記者を装って近づいた。「あしたはどんな投球をしたいですか?」と質問して笑いを取り「しっかり投げてください」とエールも送った。美馬は「自分がしっかり投げて、彼(田中)が最後はしっかりと締めてくれると思います」と優勝へのバトンをつなぐことを誓った。

 田中が優勝の最大の功労者だ。今年は3月のWBCで日の丸を背負って戦い、開幕後は無傷で白星を積み重ねてきた。無傷の連勝記録は大リーグでマーカード(ジャイアンツ)が記録した19を軽く抜き去り、「世界記録」の22。昨年からの連勝も26まで更新している。

 チームへの貢献は今季だけではない。06年夏の甲子園で早実の斎藤(現日本ハム)と壮絶な投げ合いを演じ「甲子園の申し子」として07年に入団。11勝で新人王を獲得し、当時の野村克也監督に「神の子」と称された。11年3月に東日本大震災が発生。東北を本拠とするチームのエースとして「震災を風化させたくない」との思いは強い。被災者たちとともに前に進む。その言葉を胸に投げ続け、ここまで来た。

 疲労はたまっている。マジックの対象チームであるロッテの試合展開次第で登板が決まる慣れないブルペン待機は負担にもなる。リードの場面で投げれば、15戦15勝中の登板試合連続勝利もプロ野球タイ記録で終わる。それでも東北の悲願が成就するマウンドに上がるため、準備は怠らない。

 この試合で勝っていればマジック1で「勝てば優勝」という状況をつくれていた。星野監督は「(優勝は)つかみ取らんといかんのに。こんな野球をやっていたら勝てるわけがない」と嘆いたが「王手」に変わりはない。田中は自身の連勝記録が続く中で「本当に欲しいのは優勝」と言い続けてきた。歓喜の瞬間は、もうすぐ訪れる。

 ▽田中の公式戦救援登板 野村監督時代の08、09年に1試合ずつ経験。08年6月22日広島戦(広島)は2点リードの7回から岩隈の後を受け登板。プロ初の救援登板で3イニングを1安打無失点に抑え、自身初セーブを挙げた。09年7月21日ソフトバンク戦(ヤフードーム)では1点リードの9回に中2日で登板。2死から田上に投じた5球目で当時、自己最速の155キロを計測した。「(登板を)言われた瞬間は“マジかよ!?”と思いました」と話したが、3者凡退に抑えて通算2セーブ目。

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