阿部誤算 帯状疱疹…試合直前「急に痛くなった」病院直行で欠場

[ 2013年9月22日 06:00 ]

<巨・広>引き揚げる阿部

セ・リーグ 巨人4-7広島

(9月21日 東京D)
 大黒柱が突然消えた。マジック1としていた巨人は21日、広島に4―7で敗れ、2位・阪神もヤクルトと引き分けたため、優勝決定は22日以降に持ち越された。試合直前に阿部慎之助捕手(34)が先発メンバーから外れ、都内の病院で「右脇腹から背中にかけての帯状疱疹(ほうしん)」と診断された。主砲を欠いた打線は発熱を押して先発した前田健太投手(25)に5回まで無安打と沈黙。V目前の巨人にとっては「誤算続き」の一日となった。

 敗戦から31分後、午後9時15分。東京ドームにTシャツとジャージーのハーフパンツ姿の阿部が戻ってきた。3分ほど前に帰路についた原監督と、入れ替わるように都内の病院から帰還。10分後。私服でロッカールームから現れると、襲われた帯状疱疹の痛みと、22日の出場へ祈るような言葉を口にした。

 「朝は(痛みが)なかったけど、急に痛くなった。どんな痛みか?初めて(の痛み)です。あした?神様に聞いてください」。優勝が懸かった大一番。試合開始直前、守備につくナインを紹介するスタジアムDJの声にスタンドは騒然となった。「3番・捕手」で先発オーダーに名を連ねていた阿部ではなく「キャッチャー井野卓」。今季、楽天から移籍して2試合目の先発。1安打も打っていない8年目捕手である。先発メンバーの変更は負傷などの理由で試合開始まで可能だが、打順は変えられない。4万6176人が異常事態をのみ込めないまま、午後6時1分にプレーボールがかかった。異変は試合開始直前に発覚した。「私の耳に入ったのは10分前だったかな」と原監督。試合前のシートノックにも参加した後で阿部が背中の違和感を訴えた。阿部は試合中に都内の病院へ直行した。

 試合前から、異例づくしの状況だった。午後2時開始のデーゲームで2位・阪神がヤクルトに敗れれば、優勝が決定。甲子園では5回表の時点で7―2とヤクルトが大量リードした。ところが、阪神が驚異的な粘りで8回に追い付き、延長戦に突入。引き分けが決まったのと同じ頃、東京ドームでは6回に杉内がこの日3発目を浴びるなど0―7と大勢が決した。

 試合前のミーティングで原監督はナインにこう言った。「みんなの頑張りでマジック1。きょう思う存分、戦ってください」。自力で勝てばいい。しかし、主砲を欠いた打線は広島のエース前田健に5回まで無安打に抑えられた。今季4試合目の対戦で無傷の3勝目を許し、引き分けでも決まったはずのリーグ連覇に足踏みとなった。

 原監督は言った。「きょうは残念でしたが、また同じ状況の中であすを迎えられる。しっかり戦いたい」。阿部の22日の出場は回復次第で厳しい状況である。試合後にはこの日先発した井野に代わり、15年目のベテラン加藤の1軍昇格が決まった。ただ、今季は阿部に休養日を設けて戦ってきた。「そうやって戦ってきたわけだからね。そんなにドタバタ、ジタバタしないよ」。指揮官は動じることはなかった。

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2013年9月22日のニュース