38度発熱も何の!マエケン6回零封15勝 巨人胴上げ阻止

[ 2013年9月22日 06:00 ]

<巨・広>発熱に耐え6回を無失点に抑えた前田

セ・リーグ 広島7-4巨人

(9月21日 東京D)
 ハイタッチをかわす勝利の儀式に、前田健の姿はない。体調不良でマウンドを降りると都内の病院へ直行。診断名は「へんとう炎」だった。しかし、姿はなくともマジック1の巨人の胴上げを阻止したヒーローは、文句なくマエケンだった。

 「試合前から風邪気味で熱があった。最悪、登板回避と思ったが、本人が“行く”と言ってくれた」。野村監督はエースの男気を買った先発だったことを明かした。前日から体調を崩しており、発熱は「38度ちょっとはあったんじゃないか」という。試合前の練習でもグラウンドに姿を見せず、いつもと全く違うルーティンで登板となった。それでも前田健は前田健だった。

 直球が最速147キロとスピードを欠いた。本来の球威ではない。そこで右打者に外角のスライダーを、左打者はチェンジアップを意識させ、まともな直球はなくツーシームを駆使した。決め球の変化球は全てストライクの軌道からボールゾーンへの絶妙のコースに。2回に自らの悪送球で先頭打者を出すと、高橋由と坂本をチェンジアップ、スライダーで連続空振り三振に仕留めた。「皆さんは“らしい”と思っていたかもしれないけど、僕らは“凄い”と思って見ていた」。野村監督もうなる圧巻の投球だった。

 さすがに5回を投げ終え「しんどいです」と訴えた。野村監督が「(5回まで)ノーヒットだったのでいかせた」という6回、先頭の代打・立岡に抜けたスライダーを右前へ運ばれた。その6回を投げきり1安打無失点、魂の81球だった。自身9連勝でハーラー単独トップの15勝目。防御率も1・86とし、依然としてリーグトップだ。

 CSという目標が手の届く場所にある。プロ7年目で、こんな秋は初めてだ。登板間隔を詰めた9月。この日も7回を2安打無失点に抑えた15日の巨人戦(マツダ)から中5日。東京移動の前には、野村監督からこうも言われた。「タイトだけど、もうひと踏ん張りしてくれ」。だから38度の発熱にも耐えた。

 回復次第だが、次は中4日で26日の中日戦(ナゴヤドーム)へ向かう予定。その鉄腕ぶりは同期の楽天・田中に負けない。まさに鬼神。前田健がCSへ突っ走る。

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2013年9月22日のニュース