楽天・伊志嶺 “まさか”のサヨナラ打 ミス続きも最後に闘将見直した

[ 2013年9月20日 06:00 ]

<楽・ソ>試合中にバッテリーエラーで何度も叱責を浴びた伊志嶺だったが殊勲のサヨナラ打。星野監督に抱きしめられる

パ・リーグ 楽天3-2ソフトバンク

(9月19日 Kスタ宮城)
 Kスタ宮城の夜空に浮かぶ中秋の名月が、Kスタ宮城で初めてお立ち台に上がったニューヒーロー、楽天・伊志嶺を照らし出した。

 「興奮して何が何だか分からない!うれしい。絶対に自分で決めようと思っていた」。2―2の9回1死二塁。スコアボートに表示された打率は「・059」だった。フルカウント。五十嵐の150キロ直球を、こん身のスイングで右前へ。「野球人生初めて」というサヨナラ打だ。沖縄県出身で、愛称はシーサー。6年目の28歳は星野監督からは、思い切り頭を叩かれた。

 正捕手の嶋が、前日の試合で右ふくらはぎに自打球を当てて大事を取って欠場。伊志嶺に8月31日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来、今季4度目の先発マスクの機会が巡ってきた。守っては必死。先発・美馬が6回まで毎回走者を背負う中、暴投は実に3度を数えた。6回1死一、三塁では一塁走者・本多の「偽走」に引っかかり、走っていないにもかかわらず二塁に送球。「左打者で(走者が)見えなくて…。僕のミスで進塁とか迷惑を掛けてしまった」。それでも、コツコツと続けた努力が報われる日はやってくる。それは、野球も人生も同じだ。

 連日、正午すぎから室内練習場で行う早出特打。伊志嶺は米村外野守備走塁コーチにトスを上げてもらい、100球近くを必ず打ち込む。教えは「打球は地球に水平に、体の回転は(地球の)自転よりも速く!」。阪急出身で、オリックスなどでもコーチを務めた米村コーチから、加藤秀司ら「昭和のパ・リーグ」の強打者と同様の指導を受ける。自身のバットで、マジックを2つ減らして「7」に。実は10月下旬には、志津香夫人が第1子を出産予定。「本当に楽しみです」。優勝して、そしてパパに。もうすぐダブルの歓喜が待っている。

 「シーサーがまさかねえ。打撃の信頼感?ないよ!でも、きょうは褒めてやっていい。強打線を2点に抑えて、最後に“まさか”を起こしたんだから」。前日は6点リードをひっくり返され「まさか」と話した星野監督。一夜明ければ、うれし驚きの「まさか」が待っていた。21日から本拠地を離れ、10試合の遠征に出る。本拠地に戻るのは10月3日。必ず、優勝チームとして凱旋する。 

 ≪伊志嶺忠(いしみね・ただし)あらかると≫

 ☆生まれ 1985年(昭60)6月22日、沖縄・北谷町生まれの28歳。

 ☆身長、体重 1メートル78、78キロ、右投げ左打ち。

 ☆経歴 小学3年生の時に「北谷ライオンズ(当時名)」で野球を始める。内野手から始め、小学6年生で捕手。北谷高では高校通算35本塁打―東京情報大と進み、大学3年秋の千葉県大学野球リーグで3冠王。07年大学・社会人ドラフト3巡目で入団。今年6年目。

 ☆不思議な縁 桑江中時代は中日・北谷キャンプが隣にあり、当時中日監督だった星野監督も間近で見ていた。

 ☆趣味 音楽鑑賞。

 ☆好きな言葉 向上心

 ☆好きな料理 「妻の料理全てです!」

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