【野球のツボ】貢献できなかった野球 五輪復帰を期待するのは難しい

[ 2013年9月11日 15:50 ]

東京五輪開催決定を祝福する観客に手を振る桐光学園・松井

 2020年五輪の東京開催が決まった。日本にとって、久しぶりの明るいニュース。7年後に向け、スポーツ界は盛り上がり、経済効果も高いと言われている。喜ばしいことだ。ただ、スポーツ界の中で、野球だけが取り残されたように感じている。それは私だけではないだろう。

 プロを含めた野球は、東京招致活動にほとんど貢献できなかった。それは厳然たる事実だ。チーム日本の底力を見せたプレゼンテーションはもちろん、その瞬間をみんなで喜んだ都内のパブリックビューイング会場にも、野球関係者の姿はなかった。球界として、東京五輪招致と野球競技復活に向け、プロアマ問わずに、やっていこうと、コミッショナーが音頭を取ることもなく、野球はチャンスを逸してしまった。

 報道によると、一部のIOC委員から「野球は日本で人気があるから、東京五輪で追加する可能性はある」との発言があったということだが、冷静に考えてみても、その言葉に期待をかけるのは難しいと見ている。その通りになるなら、レスリングやスカッシュとの投票をした意味がなくなる。「野球・ソフト」が認められるなら、スカッシュも認めてあげないといけない。それが物事の進め方だと思う。

 誤解をされないように、強調しておくが、野球の五輪復活を願う気持ちは強く持っている。自分に出来ることがあれば、協力をしようと思っていた。でも、実際は「何かしなければいけない」と野球界として動くことはなかったし、投票前から諦めムードが強かった。そんな状況で、「東京に決まったから、野球を」と訴えても、あとの祭りという気がする。

 そもそも「野球・ソフト」という形で復活しようとしたことに無理があった。似ているかもしれないが、やはり違うスポーツ。これを一緒にして、ルールも変えて、というのは野球というスポーツへのリスペクトもない、ご都合主義にしか聞こえない。さらに、米国のMLBが、五輪に無関心という現実もある。MLBが東京五輪のために、シーズン中に主力選手を派遣することはありえない。

 万が一、野球が特別参加の形で、東京五輪に加えられたとしても、NPBはMLBを説得することはできないだろう。レスリングは招致と復活のために、団体トップが動き、選手たちが汗を流した。何もできなかった野球が、何かを期待して、これから動くというのも、虫が良すぎるのではないだろうか。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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