バレ 悪球打ち54号 小川監督「彼は畳一畳分の広さを本塁打にできる」

[ 2013年9月11日 06:00 ]

<ヤ・広>初回、バレンティンがプロ野球記録にあと1本と迫る先制の54号2ランを放つ

セ・リーグ ヤクルト3-9広島

(9月10日 神宮)
 衝撃の悪球打ちだ。ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が10日、広島戦の初回に前田健太投手(25)の顔の高さに来たボール球を左中間へ54号2ランとし、1964年の王(巨人)、2001年のローズ(近鉄)、02年のカブレラ(西武)が持つシーズン最多55本塁打のプロ野球記録にあと1本とした。チーム121試合目での54号到達は史上最速。11日の同戦(神宮)で55号、さらに一気にプロ野球新記録の56号を狙う。

 「くそボール」だった。初回2死一塁。広島・前田健が投じた151キロ直球は顔ほどの高さに来た。それでもバレンティンは迷わず振り抜いた。

 「手を出してはいけない高さの球だったが変化球が1球しかなかったので直球に絞っていた。ボールに対してはバックスピンの利く角度でバットを入れることができた」

 この打席初めての外角のスライダーを見送った直後の5球目。「悪球」を読んで、軽々と左中間席まで運んだ。オランダ代表として出場した今春のWBCでは2次ラウンド(3月10日・東京ドーム)で2打席2三振を喫した前田健に今季2本目のアーチで雪辱。人気野球漫画「ドカベン」の岩鬼もびっくりの一撃に、小川監督も「彼は畳一畳分の広さを本塁打にできる」と感嘆のため息を漏らした。

 8日の中日戦(ナゴヤドーム)で53号が出るまで、5試合足踏みした。「ここ何試合か凄く感じている」と、自身も重圧の存在を認める。それでも、休養日だった9日は、楽天のジョーンズらと都内のハンバーガー店で食事後、わざわざ大阪まで足を運び、好きなラップ・ミュージシャン「ピットブル」のライブを観賞。気分転換という意味でも一流だ。

 王貞治が55本塁打をマークした64年は、東京五輪で日本中が熱狂した。そして、20年東京五輪の開催が決まった今年、バレンティンがその本塁打記録に挑戦している。この日の一発で一足早く「王超え」を果たした。本拠地の神宮では33本目で、64年に王が後楽園でマークした32本を抜き同一球場でのシーズン最多本塁打となったのだ。

 ただ、2打席目以降は3打数無安打1四球の2三振。「あと一振りで歴史に名を残せると思うと緊張感が高まってきた」と、再びのプレッシャーに不発に終わった。それでもまだ残り23試合。そして11日の広島先発・大竹には今季10打数4安打で3本塁打。風は吹いている。

 ≪史上5人目≫バレンティン(ヤ)が2試合連発の54号。シーズン54本以上は史上5人目で、85年バース(神)と並び歴代4位タイとした。121試合目での54号は、バースと01年ローズ(近鉄)の128試合目を7試合上回る最速での到達。これでバレンティンは23試合を残しプロ野球記録の55本に王手。54号から55号までローズは7試合(33打席)、02年カブレラ(西)は4試合(20打席)を要したが、バレンティンはどうか。

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