金無英2回持たず秋山監督激怒「精神力が足りない」

[ 2013年9月6日 06:00 ]

<日・ソ>2回2死満塁 金無英は。大引(右)二逆転満弾を打たれる

パ・リーグ ソフトバンク5-11日本ハム

(9月5日 東京D)
 秋山幸二監督(51)もあきれた。ソフトバンクは5日の日本ハム戦で痛恨の逆転負けを喫した。2回に本多雄一内野手(28)、中村晃外野手(23)の適時打などで4点を先制したが、プロ初先発となった金無英(キムムヨン)投手(27)がその裏に逆転満塁弾などを浴びて1回2/3で6失点KO。前夜はパ・リーグ最長記録となる6時間1分の激闘を制したが、その勢いを生かすことはできなかった。

 勝った試合後でも、口数の少ない指揮官だからこそ、異例の光景。少ない手駒でどうすれば勝てるか。考えに考えた末、決めた作戦も2回持たずに破たん。怒るのも仕方ない。秋山監督がまくしたてるように言葉を吐き出した。

 「まず、キムだろ!“2回でいい”って言っているのに、2回も持たない。なんでなんだ。精神力が足りない。期待して送り出してるんだ!」

 矛先は中継ぎからプロ初先発させた金無英に向いた。初回は2死から陽岱鋼(ヨウダイカン)に四球を与えたものの、4番のアブレイユは右飛で上々の立ち上がり。だが、2回に打線が一挙4点の援護をしてから様子が変わる。2回1死一、二塁から大野の右前適時打で1点を返された。さらに2死満塁となって大引に逆転の満塁弾を浴びた。まさかの1回2/3を6失点KOだ。

 金無英はうなだれた。「ブルペンは調子は良かった。1イニングずつと思って投げたけど、気持ちが入りすぎました」。あと1アウトが難しかった。首脳陣にとってみれば、後手に回らざるをえない事情があった。2回2死一、三塁、西川に四球を与えて満塁とした時点で金無英をあきらめる選択肢もあった。だが、それを阻んだのは「6時間1分」の壁だった。

 4日の同カードはパ・リーグ最長試合となり、延長12回の死闘の末に白星をつかんだ。だが、ベンチ入りさせた中継ぎの9投手をすべてつぎ込むことになった。その代償は大きかった。「きのうのきょうだからね」と高山投手コーチ。8月22日のオリックス戦(ヤフオクドーム)以来、摂津以外の先発は6回もっていない。勝ちパターンの投入をためらわせた。

 試合のなかった首位・楽天とは7・5ゲーム差。日付をまたいで詰めたゲーム差も、あっさりと広がった。プライベートで東京ドームまで観戦に訪れていた王貞治会長は「われわれの世界ははっきり、結果がでる。悔しい思いをしたら、それを生かしていかなければならない。自分で引き寄せるしかないんだ」と力を込めた。この言葉は金無英の胸にも響くはずだ。

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2013年9月6日のニュース