マギー 守備の汚名返上逆転弾「タマシイ、コメマシタ」

[ 2013年9月4日 06:00 ]

<楽・西>長男のマケイル君を肩車しながらファンとハイタッチするマギー

セ・リーグ 楽天4―3西武

(9月3日 Kスタ宮城)
 楽天は3日、1―3とリードされた8回2死一、三塁からケーシー・マギー内野手(30)が左越えへ逆転の23号3ラン。チームの連敗を2で止め、試合のなかった2位・ロッテに4ゲーム差とした。アイドルグループ「ももいろクローバーZ」が始球式を務め、楽天初代監督の田尾安志氏(59)ら2005年の創設メンバーが集結した一戦で、創設9年目の底力を披露。4日にも優勝に向けたマジックナンバー「22」が再点灯する。

 珍しく星野監督が、両手を叩き大喜びした。ジョーンズからは両手で力いっぱいにヘルメットを叩かれた。ベンチはお祭り騒ぎ。逆転弾を放ったマギーは、ベンチに腰を下ろし余韻に浸った。

 「涌井はいい投手だけど、あの打席、あの1球は高めに入ってきた。守備で迷惑をかけたので何としても打ちたかった」

 2回2死一、二塁で炭谷の三ゴロを捕球しそこねて満塁のピンチを招き、鬼崎の走者一掃の二塁打で3点を許した。3回にも失策を犯し、チームの足を引っ張っていた。それでも「メジャーの舞台で数多くのミスをしてきたことが自分の糧になっている」と、ここぞの場面で気持ちを切り替えた。2点を追う8回2死一、三塁。追い込まれてからの3球目。フォークボールを捉えた打球は楽天ファンで埋まる左翼席中段に運んだ。この姿に、星野監督は「素晴らしい男。失敗するとしょぼんとなるのが日本人の悪い癖。いいお手本だよ」と目尻を下げた。

 この日は05年の初代監督を務めた田尾安志氏、礒部(現楽天2軍外野守備走塁コーチ)をはじめ球団創設メンバーがKスタ宮城に集結した。同年は38勝97敗1分け。借金59で、首位・ソフトバンクに実に51・5ゲーム差の歴史的最下位。田尾氏は4月の時点で辞表を抱えて球場入りしていたという。そんな同氏は試合前、グラウンドに登場。マイクを握ると、ベンチの星野監督に向けて「何とかこの東北に優勝旗を持ち帰ってきてください。星野監督以外、実行できる監督はいないと思います」とメッセージ。同時に「当時は35歳以上の選手が17人もいた。その中で(初年度の)38勝は監督、選手、みんなのプライド」と話して拍手を浴びた。

 あれから8年。チームは116試合を終えて、67勝48敗1分け。貯金19で、2位・ロッテに4ゲーム差をつけている。もう弱小軍団だった面影はない。それでも星野監督は「上り坂も下り坂も“まさか(坂)”もある」と気を引き締めた。

 お立ち台でマギーは日本語で「タマシイ、コメマシタ(魂、込めました)」と言った。最高の形での逆転勝利。球団の歴史を背負い、「優勝」という新しい伝統をつくり上げていくための決意表明ともいえる1勝だった。

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