安楽 “変身”16K パ軍スカウト「イメージが違う」

[ 2013年9月3日 06:00 ]

<日本・ベネズエラ>安楽は16奪三振の完封

第26回IBAF18Uワールドカップ1次ラウンドA組 日本7―0ベネズエラ

(9月2日 台湾・斗六)
 第26回IBAF18U(18歳以下)ワールドカップ第2日は2日、1次ラウンドが行われ、A組の日本はメキシコとベネズエラに連勝し、3連勝で2次ラウンド進出に大きく前進した。ダブルヘッダー第2試合のベネズエラ戦は済美の安楽智大投手(2年)が先発。毎回の16三振を奪う快投で2安打、無四球完封の衝撃の「世界デビュー」を果たした。主将の大阪桐蔭・森友哉捕手(3年)も2試合で4安打6打点と活躍。3日は1位突破を懸け、チェコと対戦する。

 100球目は149キロ直球だった。9回2死。安楽は最後の打者から空振りで16個目の三振を奪う。2年生右腕は納得の表情で整列に加わった。

 「スピードを意識せず、丁寧に投げた。フォームと制球だけを意識した。安楽の進化を見せることができた」

 初回は3者連続三振。下半身に重心を乗せ、腕をしっかり振ることだけを意識した。中継したテレビ局のスピードガンで最速150キロを記録した直球と、スライダーを丁寧に低めに集め、2安打無失点。無四球完封で世界デビュー戦を飾った。

 日本で行われた練習試合2試合では抑えを任された。前日の台湾戦もブルペンで救援待機。この日の先発について西谷浩一監督は「ナイターは球が見えにくい。重い球を投げる馬力のある安楽が最適」と説明した。

 今夏の甲子園の3回戦で花巻東(岩手)に敗戦後、「どうして150キロのスピードを出す自分が負けたのか」と考え、眠れない夜が続いた。たどり着いた答えは「スピードにこだわりすぎている自分がいる。コースに投げれば打たれない」。制球重視で臨んだ世界大会。代表チームでは松井にスライダー、高橋光成(前橋育英)にフォークの投げ方を尋ねるなど、投球の幅を広げようと努めた。

 打者30人に対して初球がボールとなったのは4人だけ。3ボールは一度もなく、100球中、ストライクは83球を数えた。右打者7人が並んだ打線に対しても「内角のスライダーが有効だった」と振り返る。視察したパイレーツの江富群スカウトも「甲子園で155キロを出したと聞いていたがイメージが違う。制球力がとても良い」と変化を感じ取っていた。

 今春センバツでは5試合で772球を投げ、米国内で「投げすぎ騒動」も起きたが、100球の省エネ投球に、ヤンキースのデーブ・デフレイタス・スカウトも「直球もスライダーもいい。とても力強い」と目を細めるしかなかった。

 「松井さんだけでなく、安楽が投げても勝てると思われたかった。アメリカに成長した姿を見せたい」。開幕戦で12奪三振だったエース松井をしのぐ、圧巻の16Kだった。

 ▼西谷浩一監督 2試合とも無失点で球数も非常に少なかった。このあと連戦が続くのでありがたい。選手たちがお互いの良さを引き出し合いながら少しずつ成長しているのを感じる。(安楽と森友は)非常にコンビが良かった。

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