マエケン 納得の自己最速153キロ7回零封!8月わずか1失点

[ 2013年8月28日 06:00 ]

<広・D>力投する前田健

セ・リーグ 広島8-1DeNA

(8月27日 マツダ)
 エースの粘りが爆勝を呼んだ。広島・前田健太投手(25)が27日、DeNA戦(マツダ)で自己最速の153キロをマークし、7回を7安打無失点と好投した。8回に追いつかれたため、リーグトップタイの12勝目こそ逃したが、8月は4試合30イニングで1失点の充実ぶり。月間MVPの有力候補に躍り出た。試合は8回、敵失で勝ち越し、松山の適時二塁打などで一挙7点。8―1で大勝した。

 勝利投手の権利を失ってもエースは淡々としていた。7回で111球を投げ、7安打を許しながら零封した粘投劇。前田健は「チームが勝つのが一番。あの展開で負けてしまうと、雰囲気が重くなる。いい勝ち方ができてよかった」と安どした。

 いきなり魅せた。楽天・田中ばりのギアチェンジは初回だ。四球と連打で招いた1死満塁のピンチ。右腕の表情は明らかに変わった。まずは5番・中村をカウント2―2からの133キロ低めスライダーで空振り三振。その数分後には、歓声がどよめきに変わる。

 1―2と追い込み、多村に投じた4球目。真ん中低めの直球にバットが空を切ると、自己最速を1キロ更新する153キロが表示された。先制点は絶対に与えたくない。力みで失投しかねないピンチで、しかし、気迫を確かな力に昇華させた芸当。エースはさすがだ。

 「あそこで取られたらズルズル行く。1点もやりたくなかったので三振を狙った。(多村の)最後は全力で投げた」

 6回にはブランコのバットを150キロでへし折った。それでいて「調子は悪かった。変化球も制球も今いち…」と振り返る。7年目。「アベレージが速くなっているのは感じる。直球は速いに越したことはない」。常時140キロ台後半をマークする直球。自己最速更新は進化の証しだった。

 「8回まで投げてほしい気持ちはあるけど、後半戦の疲れや球数を考慮した。エースらしい投球をしてくれた」と野村監督。交代については、右腕自身も「山内(投手コーチ)さんと話をしているので。球数もあるし、まだ試合もあるし」と納得済みだ。

 8月は先発4試合、投球回数30イニングで1点しか失わず、月間防御率は驚異の0・30。勝ち星こそ2つながら月間MVPの有力候補に躍り出た。「大事な時にいい投球ができているのはいいこと」。クライマックスシリーズ進出争いは佳境を迎える。防御率はいよいよ1点台をにらむ2・03。最多勝、最多奪三振でも戴冠を視界に入れる好調なエースが心強い。

 ≪チーム55年ぶり驚異の防御率≫前田健(広)が7回無失点。8月は4試合30イニングを投げて自責点はわずか1で、月間防御率0・30と驚異的だ。月間30イニング以上で防御率0・30以下は、58年7月に備前喜夫が0・27(33イニング、自責点1)をマークして以来、チーム55年ぶり。

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2013年8月28日のニュース