“星野チルドレン”榎本 今季初打席でサヨナラ打!楽天M点灯目前

[ 2013年8月26日 06:00 ]

<楽・ロ>9回1死一、二塁、サヨナラ打を放ち、歓喜の楽天・榎本

パ・リーグ 楽天6―5ロッテ

(8月25日 Kスタ宮城)
 またニューヒーローだ!首位・楽天は25日、ロッテ戦で9回に1点差を追い付くと、途中出場していた3年目の榎本葵外野手(21)が今季初打席でプロ初打点となるサヨナラ打を放った。2試合連続の4点差逆転勝ちで同一カード3連勝。2位・ロッテとのゲーム差を5・5に広げた。3位・ソフトバンクが勝利したために優勝マジック点灯は27日以降にお預けとなったが、球団初優勝へ突き進む星野楽天の行く手を阻むものは見当たらない。

 記憶はない。我に返った榎本は、びしょ濡れだった。満面に笑みを浮かべた星野監督が近づいてくる。両手で頭を何度も叩かれた。まさに夢心地。ロッテから見れば完全な「伏兵」が今季初打席でプロ初打点を挙げ、サヨナラ勝利を呼んだ。

 「打った瞬間は頭が真っ白で覚えていません。星野監督から連打を受けたけどうれしかった」

 21日に1軍に昇格したばかりで、前日までの出場は代走の1試合。この試合も8回にDHのジョーンズの代走で途中出場していた。1点を追う9回に岡島の適時打で同点とし、なお1死一、二塁。益田がカウント2―2から投じた145キロの直球を右中間に運んだ。馬のように愛嬌(あいきょう)のある顔立ちで、チームメートから人気漫画の主人公にちなみ「マキバオー」といじられている21歳は二塁ベースを回ったところで手荒い祝福を受け、記憶が戻った。

 一振りでヒーローとなったが「自分は持ってない男」と言う。プロ2年目だった昨季は16試合に出場して経験を積んだが、今年は2月24日のオープン戦の巨人戦(沖縄セルラー)の走塁練習中に一塁ベース付近で外野からの遠投のボールを顎に受け右下顎骨(がくこつ)を骨折。皮膚にボールの縫い目が浮き出る程の衝撃だった。数日間は口が開かず食事もできないほどの重傷。開幕も2軍で迎え「あと少しずれていればヘルメットの耳当ての部分に当たっていた。本当についてないなと思った」と振り返る。

 「自分の課題は打撃」と自己分析する21歳はとにかく2軍でバットを振り込んだ。打撃練習では体を鋭く回転させ、低いライナーを打つ。2軍で3割以上の成績をマークして1軍切符をつかんだ。孝行息子の出現に星野監督も「夢を見ているみたい」と目尻を下げた。

 9回は先頭の島内から岡島、阿部、銀次、榎本と左打者5人が、それぞれの役割を果たした。5人合わせても総年俸が6780万円という「星野チルドレン」での痛快な逆転サヨナラ劇。2位のロッテに最高の形で3連勝を決め、27日にも優勝マジックが点灯する。もう突き進むだけだ。

 ≪27日にもM28か29≫楽天が今季3度目のサヨナラ勝ちでロッテに3連勝。前日(24日)に続き4点差をひっくり返したが、楽天の2試合連続4点差逆転勝利は球団史上初めてだ。この日はソフトバンクが勝ったため楽天のマジック点灯はお預け。27日に楽天がオリックスに○でソフトバンクがロッテに△か●でM28、楽天が△でソフトバンク●ならM29が点灯する。

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