ボール直撃の災難も…マートン 試合後は冷静「誰でも間違いある」

[ 2013年8月24日 12:58 ]

<中・神>3回、右飛の判定に塁上でマートンは「WHY?」
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セ・リーグ 阪神7-2中日

(8月23日 ナゴヤD)
 一度はそっぽを向かれた男が、自らのバットで勝利の女神を振り向かせた。阪神・マートンは3回2死一、二塁で右翼フェンス直撃の先制2点二塁打となるはずが“誤審”により右飛の判定を下された。2点を追う6回無死一塁から、今度は左中フェンスを直撃する正真正銘の二塁打で好機拡大。マートンが後続の爆発を呼び、一挙5得点を演出した。

 「誰でも間違いが起こることはある。でも、きょう勝てた。これが一番良かった」

 試合後は冷静に振り返ったM砲も“事件”の瞬間はやり場のない悔しさにうちひしがれていた。和田監督の猛抗議の末の退場を、ただ二塁塁上で眺めているしかなかった。判定が覆らないと分かっていてもその場を離れなかったのは、自分なりのせめてもの抗議。逆転優勝に向け負けが許されない一戦での、貴重な先制2点打が幻となったのだ。心中察するに余りある。

 4回の守備では1死から平田が叩き込んだ左越え本塁打のボールを、心ない虎党から自身の方向に投げ返され、左耳付近に当たった。一目散にベンチへと走り、大木通訳、黒田監督代行を通じて審判団にファンへの「注意」を求める一幕も。それら怒りのすべてを受け止め、勝利への力に変換できるのが今のマートンと言っていい。

 「ファンもイライラしていたんじゃないかな。気持ちは分かるけど、危険な行為。気をつけて」。普段から大切にしているファンの愚行だからこそ、なし崩しにはできなかった。

 「もう僕から何も言うことはないよ」

 冷静な口調で帰りのバスに乗り込んだ。ジェットコースターに乗っているような名古屋の夜。勝利という事実が、背番号9の心を落ち着かせてくれた。

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2013年8月24日のニュース