花巻東 千葉 カット打法“禁止”で粘れず「最後まで貫けなかった 悔しい」

[ 2013年8月22日 06:00 ]

<延岡学園・花巻東>決勝進出を逃し、悔し涙にくれる花巻東・千葉(手前)
Photo By スポニチ

第95回全国高校野球選手権大会準決勝 花巻東0―3延岡学園

(8月21日 甲子園)
 歩けなかった。肩を震わせながら泣きじゃくった花巻東の千葉は過呼吸となり、車いすに乗せられたまま、甲子園を後にした。敗れた悔しさ、自分の特技を封印された無念…。1メートル56の2番打者の夏は、不完全燃焼のまま幕を閉じた。

 「自分のやりたかったことを最後まで貫けなかったことが悔しい。今までの野球人生の中で一番悔しい試合だった」

 19日の鳴門(徳島)との準々決勝。投手に41球を投げさせ、1安打4四球。追い込まれてもバスターの構えで際どい球をカットで逃げながら、全ての打席で出塁した。その試合後。審判部から花巻東に対し「高校野球特別規則」についての説明がなされた。「意識的にファウルする“カット打法”は審判がバントと判断する場合もある」というルールの周知が目的だった。

 千葉は、20日の休養日に佐々木洋監督、流石裕之部長からその旨を伝えられた。ルールが適用されれば、3バント失敗で粘ることはできなくなる。流石部長によると、千葉は「自分はどうしたらいいですか?」と困惑気味だったという。

 2回戦からの3試合で、15打席中12打席で出塁。7安打をマークするなどチームの快進撃を支えてきた。だが、この日は武器であるカット打法を封印せざるを得なかった。「ファウルで粘って何としても出塁することが自分の役割。自分の野球が最後にできなかった」。4打席で一度もファウルを打たなかった。6回にはセーフティーバントを試みたが、投ゴロに倒れた。3試合で計96球も粘り抜いた千葉は、相手投手にわずか10球しか投げさせることができず、無安打に終わった。

 菊池(西武)を擁した09年以来の準決勝だったが、キーマンが封じられ、打線は3安打で零敗を喫した。佐々木監督は「監督の責任です。このチームの選手には怒ってばかり。よく付いてきてくれた。選手に感謝したい」と目を腫らした。東北勢初優勝の夢はかなわなかった。千葉の涙が止まることはなかった。 

続きを表示

この記事のフォト

2013年8月22日のニュース