前橋育英 父子鷹が祖父子鷹に勝った 荒井監督“9度目の正直”

[ 2013年8月19日 06:00 ]

<横浜・前橋育英>準々決勝進出を決め、父・荒井監督(左)にボールを渡す海斗主将

第95回全国高校野球選手権3回戦 前橋育英7―1横浜

(8月18日 甲子園)
 父子鷹で祖父子鷹を破った。前橋育英・荒井直樹監督の次男・海斗主将は、父の念願であった「打倒横浜」を達成したことに感無量の様子だった。

 「甲子園で横浜と対戦できた。なんとしても勝ちたかった。こんな幸せなことはないです」

 日大藤沢(神奈川)出身の荒井監督は、現役時代に2度、そして指導者として6度(前任校の日大藤沢で5度、前橋育英で1度)横浜と公式戦で対戦し、全て敗れていた。父の思いは知っている。「9度目の正直を果たしたい」。前日、ナインに語りかける父の姿に海斗主将は闘志を奮い立たせた。

 初回。1死一、三塁の先制の好機に打席が回ってきた。ここまで2試合は7打数無安打。「ワンバウンドとデッドボール以外は振りにいけ」という父の言葉を思い出した。バットを短く持ち、132キロの外角球に食らいついた。右前への先制適時打。「打てなくて迷惑をかけていた。必ず打ってやろうと思っていた」。結果的にこの一打が決勝打となった。

 父の「サザンオールスターズ好き」が高じて海斗と名付けられた。幼少期、監督業に忙しい父には遊んでもらうことも野球を教えてもらうこともできなかった。それでも父に憧れた。社会人のいすゞ自動車でプレーする映像は隠れて何度も見た。小学5年の作文では「お父さんを甲子園に連れて行き全国制覇したい」と書いた。今では家でも「監督さん」と呼ぶ。寮母を務める母・寿美世さんは「一緒に野球をやることで、今まで思い出が少なかった分を取り戻しているんです」と感慨深げに話した。

 夏は初出場ながら8強入り。荒井監督は「よく打ってくれた。横浜は校歌だって完璧に歌えるぐらい憧れた。1度も勝てていなかったのでうれしい」と息子の活躍を喜んだ。当初は「甲子園で校歌を歌うこと」だった2人の目標は、今では「日本一」に変わっている。

 ▼前橋育英・工藤(4回2死から右越えソロ)気持ち良かったです。走っているときは「今まで練習してきて良かった」と思った。

 ▼同・田村(工藤に続き左越えに本塁打)完璧に捉えたのでいったと思った。つなぐ意識で打席に立ちました。

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2013年8月19日のニュース