“83歳の女子高生”チエさん 始球式に登場、笑顔で「80点の出来」

[ 2013年8月17日 19:15 ]

始球式に登場した上中別府チエさん

 神奈川県の川崎市立高津高校定時制に通う“83歳の女子高校生”として話題の上中別府(かみなかべっぷ)チエさんが17日、相模原市のサーティーフォー相模原球場で行われた女子プロ野球「ティアラカップ相模原大会」の試合前に始球式を行った。

 背番号「83」のユニホームを着た上中別府さんは83歳とは思えない足取りでマウンドに登場。スタンドには日頃「チエさん」と慕う高津高校軟式野球部員や同級生、先生たちも応援に駆け付けた。始球式を終えた上中別府さんは「無事に始球式を終えられて満足しました。球種はストレート。始球式のために練習したんですが、出来栄えは80点。マイナス20点はキャッチャーに届かなかったことですね」と笑顔で話した。

 1930年に鹿児島県曽於市で生まれた上中別府さんは川崎市立高津高校定時制の4年生。戦争のため、満足に勉強できないまま成人となり結婚。2人の子供を授かり、今は孫5人、ひ孫が4人いるが「学びたい」気持ちが心の中にあり、76歳の時に川崎市立西中原中学校夜間学級に入学。3年間学んだ後、さらに学習意欲が増したことから川崎市立高津高校定時制を受験。入学後は書道部、華道部に所属していたが、昨秋に顧問と部員から懇願されて軟式野球部に入部。

 今年の全国高校定時制通信制軟式野球選手権大会県予選1回戦で、最終回に左翼の守備につき公式戦初出場を果たしたほか、決勝戦では大事な場面で伝令を務めるなど、チームには欠かせない存在となっている。そして、今回の女子プロ野球での始球式は同じ女子野球選手として上中別府さんは女子野球の発展、普及のために始球式の依頼を快諾した。

 女子プロ野球選手と同じグランドに立った上中別府さんは「皆さん、女子プロ野球を1秒、2秒でもいいので応援してあげてください」と熱い応援メッセージを送った。

続きを表示

この記事のフォト

2013年8月17日のニュース