マー君 日本新21連勝 1年間負け知らず「いい緊張感で幸せ」

[ 2013年8月17日 06:00 ]

<西・楽>マー君、日本新21連勝!両手で「21」をつくる田中

パ・リーグ 楽天3-1西武

(8月16日 西武D)
 楽天・田中将大投手(24)は16日、西武を相手に8回1失点で毎回の10三振を奪い、自らが持つプロ野球記録の開幕連勝を17に更新。昨年8月から21連勝とし、52年松田清(故人、巨人)、57年稲尾和久(故人、西鉄)と並んでいたプロ野球の連勝記録を56年ぶりに塗り替えた。野村克也元監督に「神の子」と呼ばれた24歳は「神様、仏様、稲尾様」と言われた大投手を超えた。不敗のエースが前人未到の偉業達成。チームの貯金も今季最多タイの20とした。
【試合結果 田中の21連勝の軌跡】

 最初が肝心。力には力だ。初回、西武打線にいきなり連打を浴び、無死二、三塁の大ピンチ。ここからが田中の強さだ。

 「あの場面、点を取られる可能性がある打たれ方はされたくなかった」

 西武はファーストストライクから積極的に打ってきた。相手の狙いはすぐに分かった。ならば、いきなり勝負球。3番・栗山をスプリットを2球続けて一ゴロ。4番・浅村は力で押した。内角いっぱいの148キロで見逃し三振に仕留め、3人で片付けた。

 わずかに変化させることで打ち損じを誘う得意のツーシームを選択してもよかった場面。だが、「1点もやらない」という姿勢を貫く。きれいな回転で浮力を上げ、空振りや内野フライを狙えるフォーシームを投げた。内野は前進守備。ゴロでも本塁でアウトを取れる可能性はあるが、ボテボテのゴロならば失点する可能性もあるからだ。腰痛など体調が万全でなかった昨年は、フォーシームがツーシームのようにシュート回転することもあった。捕手の嶋は「今年はツーシームとフォーシームの投げ分けができている」と称えた。

 連勝記録への最大の難関。それが、西武戦だった。ここまでの対戦成績は6勝13敗、11球団で唯一負け越している。西武ドームでも3勝5敗。「タフな試合になるのは予想していた」。6回、1点先制した直後に浅村に同点打。だが最少失点で食い止め、毎回の10奪三振で8回1失点に抑えた。プロ野球新の21連勝。それでも「6回の失点が反省。記録はシーズン終わりで振り返りたい」と前を見据えた。

 開幕10連勝中だった7月上旬。思わず周囲に本音を漏らした。「岩隈さん(現マリナーズ)の大変さが分かりました」。入団した07年から11年まではエースに岩隈がいたため立場は2番手。初めて1番手となった昨年、腰痛など故障に苦しみ10勝止まりだった。今年、重圧をはね返しながら白星を積み上げている。

 誕生日は日本シリーズ開催時期の11月1日。プロ入りから過去6年は既にシーズンが終わっていた。09年は2位でCS進出もファイナルステージで日本ハムに敗れた。悔しさは今でもある。「やっぱり(誕生日の時期に)野球をやっていたい。09年の日本シリーズは11月1日が初戦だった。勝ち進めば岩隈さんが初戦で自分は2戦目かな、と思ってました」

 球団創設9年目。初の優勝マジック点灯は2位・ロッテが勝ち、18日以降に延びたが、まもなくだ。「いい緊張感で野球がやれているのは幸せです」。今年の日本シリーズは10月26日から。25歳の誕生日ごろ、田中が日本シリーズで真剣勝負をする姿が見える。

 ▽投手の連続記録 連続勝利は負けが付かない限り中断されない。間にセーブや引き分けが入っても継続される。連続敗北も勝利が付かない限りは中断されない。一方、連続セーブは登板した試合で付かなければ中断される。連続試合完投勝利も達成できなかった時点で記録が途切れる。

 ≪同一シーズン最多連勝は稲尾の20≫田中(楽)が昨年8月26日の日本ハム戦から21連勝。51~52年松田(巨)、57年稲尾(西鉄)の各20連勝を56年ぶりに抜く連続シーズン最多連勝のプロ野球新記録を樹立した。今季に限ると無傷の17連勝となり、自身が持つ開幕からの連勝記録を更新。同一シーズンの最多連勝は前出稲尾の20連勝で、田中は03年斉藤(ダ)の16連勝を抜く単独4位に浮上した。

 ≪大リーグ記録は24連勝≫大リーグの連続シーズンを含む最多連勝は1936、37年にカール・ハッベル(ジャイアンツ)が挙げた24連勝。36年7月17日パイレーツ戦から、37年5月27日のレッズ戦まで勝ち続けた。ただ内訳は先発で21勝、救援で3勝。ちなみに開幕連勝記録は1912年にルーブ・マーカード(ジャイアンツ)が達成した19連勝。4月11日から7月3日まで続いた。

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