日大対決は山形に軍配!三高から大金星 奥村28年越し「親子弾」

[ 2013年8月14日 06:00 ]

<日大三・日大山形>初回2死三塁、奥村は中越えに先制2ランを放つ

第95回全国高校野球選手権2回戦 日大山形7―1日大三

(8月13日 甲子園)
 快音が次々と響きわたる。1点リードで迎えた7回。日大山形は先頭からの4連打で2点を加え、2死満塁からさらに2本の適時打が生まれる。打者10人で一挙5点。出場49校中最高打率を誇った日大三のお株を奪う猛打で試合を決めた。

 「甲子園に来れば相手はどこでも同じ。甲子園はできないことまでさせてくれる夢の球場だから。自信を持って戦えた」

 そう胸を張ったのが4番の奥村主将だった。初回2死三塁。139キロの直球を振り抜き、バックスクリーン右へ運んだ。「チームを勢いづけたい。柱としての意地があった」。この一発で試合の主導権を握った。

 奥村の父、伸一さん(45)は甲西(滋賀)が85年夏に初出場ながら4強入りし、「ミラクル甲西」と呼ばれた当時のメンバー。翌86年夏の甲子園では1回戦の三沢商(青森)戦で右翼ラッキーゾーンへ本塁打を放った。聖地での「親子弾」に、父は「スタンドインした息子は(自分より)上」と褒めたたえた。

 日大三はチームが成長するきっかけを与えてくれた存在だった。3月の練習試合で6―8と敗戦。スコア上は2点差の惜敗だが、奥村主将は「名前負けして弱気になった。完敗だった」と振り返る。そこからナインの目の色が変わった。

 毎週末1000スイングの振り込みに加え、近距離フリー打撃。打撃投手が通常より3~5メートル前から全力投球した球を打ち返すことで、球速に負けないようになった。当然、至近距離ではスイングをコンパクトにしなければ当たらない。この日の7回の猛攻も、全6安打が単打。さらに甲子園出場を決めた後は打撃練習の球数を普段の3分の1に減らすことで集中力を培い、その結果の集中打だった。全員安打の12安打に荒木準也監督は「本気でバットを振り込んできた結果、本物のバッティングになった」と評した。

 奥村主将こそ滋賀出身だが、ベンチ入り18人中16人が山形出身だ。県勢として春夏通じて6度目の対戦で東京勢から甲子園初勝利。優勝候補の一角を倒して意気上がる奥村は「東北勢の力は上がっている。山形代表としての誇りを持って戦う。目標はベスト4」。甲子園には浜風より、みちのく旋風が吹いている。

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