菅野１０勝新人王だ！ハーラートップの小川と２勝差

＜広・巨＞４回１死一、三塁、岩本を遊撃併殺打に打ち取り、笑顔の菅野

セ・リーグ 巨人６－１広島

（8月11日 マツダ）
　拍手と歓声に包まれた三塁側スタンドをよそに、菅野はマウンド上と同じく冷静に受け止めた。

　「ここまで勝てるとは思っていなかった。一つの区切りになると思う」

　チーム一番乗りの１０勝到達。節目の勝利もこれぞ菅野という投球だった。２―０の４回１死一、三塁。岩本を２球で追い込みながらファウルで粘られたが、四球は与えない。９球目。フルカウントから外角低めへシュート系の１４７キロワンシームで狙い通りに遊ゴロ併殺打に打ち取った。

　「最後はワンシームでゲッツーと決めていた。（捕手の）阿部さんもそうだったと思います」。酷暑の中、２回から６回まで毎回安打を許したが、連打はわずか一度だけ。川口投手総合コーチは「走者を背負ったときにギアを上げられるのが、勝てる投手の一つの条件」と評価する。

　先発投手として年間通じて活躍するためには、強弱をつけた投球が欠かせない。菅野は１年目でそれができつつある。「力だけで抑えられない。取りたいときに併殺、打たせたいときにゴロ。だんだんとできるようになってきた」。この日の投球でより自信を深めた。

　菅野の最大の長所は制球力。今春キャンプのブルペンで初めて菅野の投球を見た杉内は「自分でリクエストしてどの球もコースぎりぎりに投げていた。よほど自信がないとできない」と驚きの声を上げた。防御率リーグ１０傑の中では広島・前田健、阪神・能見に次ぐ３番目に少ない２８四球。ここぞの場面で最高の１球を投じてきた。

　自らの好投で優勝マジックを１つ減らして３７とした菅野は「最低７回と思っていた。最低限の仕事はできた」とうなずいた。２リーグ制後、新人で２桁勝利を挙げた巨人の投手７人は全て新人王を獲得している。ハーラートップのヤクルト・小川に２勝差。菅野ならば十分に、届く距離にある。