藤浪、竜斬りでセ5球団制覇 甲子園連覇の夏男本領

[ 2013年8月12日 06:00 ]

<中・神>8回のピンチを切り抜け、グラブを叩く藤浪

セ・リーグ 阪神1-0中日

(8月11日 ナゴヤD)
 この男には夏が似合う。投球数が増えるにつれて、球速が上がり、凄みが増す。その姿は1年前、甲子園を戦っている時のようだった。自己最多の132球を投げた阪神の藤浪は「まだまだいけた」とさらりと言ってのけた。

 プロでは未知のイニングとなった0―0の8回。2死三塁で大島を迎えた。球数は既に100球を超えていたが、初球から直球がうなりを上げる。151キロ、149キロ、150キロ、151キロ。そしてカットボールを挟み、最後はフルカウントから、この日最速タイの151キロの外角直球で二ゴロに打ち取った。

 9回もマウンドに上がり、スコアボードに9個目のゼロを並べた。「9回を投げられたことは、自信になります」。奮闘するルーキーにようやく打線が応え、延長10回にマートンが決勝打。2安打無失点で8勝目を挙げた藤浪は「点が入ると信じていたし、何よりチームが勝って良かった」と白い歯をこぼした。

 初めての中日戦。初回はナゴヤドームのマウンドに「しっくりこなかった」となじめず、何度も足でならした。しかし、2回以降は「体が開いていた」フォームを修正した。要所で光った球種はフォークボール。「完成度の高い球じゃない」とは言うが、沈む球でクラークを3打席連続で空振り三振に抑えた。

 0―0のまま迎えた7回2死一、二塁の好機では打席が回ってきた。球数を考えれば代打のケース。しかし、藤浪はそのまま打席に立った。結果は空振り三振だったが「自分に任された、という期待を裏切らないように、と思いました」と、さらにギアを上げた。和田監督も「きょうのゲームは晋太郎に尽きるね。内容的には申し分ない」と感服した。

 連覇を狙う母校・大阪桐蔭は8日の大会第1日に登場し、順当に初戦突破。7月27日の大阪大会準決勝に応援に駆けつけた際には「元気をもらったというか、刺激になりました」と話した。後輩たちの奮闘、そして昨夏の「記憶」もまた、この日の快投の原動力だ。

 中日からも勝利を挙げ、同一リーグの全5球団制覇は、高卒ルーキーでは99年の西武・松坂大輔(現インディアンス傘下3A)以来で、セでは67年の阪神・江夏豊以来となる。「夏男」を自認する背番号19は日本一になった昨夏同様、夏場にピークを持ってきた。

 ▼中日・谷繁(1四球1安打。球宴ではバッテリーを組み)得点圏に走者を背負った時は 低めにきっちり来るし、そういう形が見える。

 ▼中日・平田(5回1死からチーム初安打となる左前打)クロスステップだから右打者は打ちにくい。(大阪桐蔭の先輩で)周りから言われるので一本打ててよかった。

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2013年8月12日のニュース