イチロー 加速3安打「どうってことないですけどね」

[ 2013年8月11日 06:00 ]

<ヤンキース・タイガース>10回、ガードナーのサヨナラ打で生還したニックス(左)とハイタッチするヤンキースのイチロー

ア・リーグ ヤンキース4―3タイガース

(8月9日 ニューヨーク)
 ついに、大記録へのカウントダウンに入った。ヤンキースのイチロー外野手(39)が、タイガース戦に「2番・右翼」で3試合ぶりに先発出場し3安打。日米通算4000安打へ残り8本とした。3回の守備では、右翼線への大飛球をフェンスに激突しながら好捕。アレックス・ロドリゲス内野手(38)の薬物騒動に揺れるチームを攻守で引っ張り、連敗を4で止める延長10回サヨナラ勝ちに貢献した。

 イチローは、ネクストバッターズサークルから歓喜の輪に加わった。延長10回2死満塁、1番ガードナーが左前サヨナラ打。ヒーローの座こそ譲ったが、背番号31はタイガースの連勝を12で止めた立役者の一人だった。

 初回と3回に左前打を放ち、7回には二塁内野安打。松井秀喜氏の引退式典が行われた先月28日、レイズ戦で4安打して以来のマルチ安打で日米通算4000安打へ残り8本とした。それでも、本人は「いやあ、どうってことないですけどね。全然(意識しないわけ)じゃないけどね」とマイペース。そして、こう続けた。「周りのテンションが僕には分かりませんからね」。日増しに高まる注目をよそに、普段通りプレーに集中する。

 打撃の真骨頂が垣間見えたのが、初回無死一塁で迎えた第1打席。走者が進塁しやすい右方向に引っ張るのがセオリーだが、それを阻もうとする外角への配球を逆手に取った。84マイル(約135キロ)の外角低めチェンジアップを逆らわずに左前へ。これで自らを乗せ、固め打ちにつなげた。

 7月末に対戦したレンジャーズのロン・ワシントン監督は「イチローの打席でのアプローチは本当にクレバーだ」と称賛した。卓越したバットコントロールだけでなく、状況に柔軟に対応できる「セルフコントロール」の技術だ。今月はグランダーソンの復帰もあって7試合中、先発は4試合。それでも21打数7安打と1試合1安打ペースを維持している。

 3回には守備で魅せた。昨季3冠王カブレラの右翼ポール際を襲う大飛球をジャンプして好捕。「この辺に(グラブを)出して入ってくれた、というプレー」。そのままの勢いでフェンスに激突し転倒したが、ぶつかる瞬間にグラブの土手に収まったボールが落ちないようにしっかり右手で押さえた。地元テレビ局の解説者も「イチローは39歳だが、29歳のようなプレーだ」と絶賛した。

 チームは地区4位に低迷し、プレーオフ進出は厳しい状況。さらにロドリゲスの薬物問題にも揺れている。そんな中で4000安打を目前にしても、何も変わらない。それがイチローたるゆえんだ。

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