箕島 30年ぶり夏勝利へ 星稜・山下名誉監督からエール

[ 2013年8月8日 06:00 ]

ガッチリ握手を交わす星陵・山下名誉監督(右)と箕島・尾藤監督

 第95回全国高校野球選手権大会が、8日に甲子園球場で開幕する。29年ぶり出場の箕島(和歌山)は第3試合で日川(山梨)と対戦。故尾藤公監督の長男・強監督(44)は、この日の開会式リハーサル前、父が指揮を執った79年に延長18回の激闘を演じた星稜の山下智茂名誉監督(68)からエールを送られた。

 「心の師匠」がパワーをくれた。箕島の尾藤監督は開会式の予行練習前に、観客席で星稜の山下名誉監督にあいさつ。すると、心強い言葉が返ってきた。「おやじさんが背中についているから大丈夫!」。さらに「笑顔がそっくり。よう似てきた」と優しくほほ笑んだ。父の代名詞だった「尾藤スマイル」が甲子園に帰ってきた。

 箕島を強豪に育て、一昨年3月に死去した父・公さんと山下氏は、79年の夏の甲子園で球史に残る延長18回の激闘を演じた。健闘を称え合った2人はその後親交を深め、練習試合も毎年のように組んだ。10年9月に、OBによる「再試合」が甲子園で行われた時には、闘病中だった公さんに、山下氏が「早く元気になって」と声を掛けた。公さんが他界後は、息子の強氏と連絡を取り合い、今年5月にも大阪市内で会ったという。今では尾藤監督が「精神的な柱」とまで言い切る存在である。

 それだけに、その言葉は胸に響く。「(父に)わざと似せてるんです」と照れながらジョークで返した表情からは、うれしさがにじんでいた。

 山下氏からは、夢の中に父が出てきたことも告げられた。「再戦の前触れ?そうかも。そのためにも初戦を勝たないと」と、8日の日川戦に全力を注ぐ。この日は相手の146キロ右腕・山田対策として、140キロに設定したマシンをマウンドから1メートル前に出して打撃練習を行うなど準備は万全だ。

 チームでもサプライズがあった。先月30日、44歳の誕生を迎えた尾藤監督に部員全員から「監督と野球ができてよかった」などと書かれた色紙が贈られた。指揮官は2時間も泣いたという。勝てば30年ぶりの夏1勝。夢の再戦実現へ、うれし泣きのリハーサルもバッチリだ。

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2013年8月8日のニュース